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2026.05.27

スポニチアネックス

【ダービー】絶好調津村 4度目“夢舞台” リアライズシリウスで戴冠へ「今までで一番チャンス」

 春のG1シリーズ水曜企画は「G1 追Q!探Q!」。担当記者が出走馬の陣営に「聞きたかった」質問をぶつけて本音に迫る。3歳世代の頂点を決める「第93回日本ダービー」は東京本社・鈴木悠貴(35)が担当。デビュー23年目で悲願の初制覇を狙う津村明秀(40)に「ダービーへの思い」「鹿島アントラーズ」「家族の存在」の3テーマを聞いた。

リアライズシリウスでダービーに挑む津村

 【ダービーへの思い】あの日のことは忘れない。津村の初ダービーは20年5月31日。ビターエンダーとの夢のような2分25秒。その中で、競馬の祭典を制す難しさを味わった。

 「ダービーを勝つなど雲の上。あの時は“そういう場にいるんだな”ということしか考えられなかった」

 あれから6年。津村は強くなった。G1を勝ち(24年ヴィクトリアマイル=テンハッピーローズ)、海外遠征も経験。今年はすでに重賞5勝と過去最高のシーズンを送っている。「ここ6年で、さまざまなことへのチャンスが広がってきたかな」と津村自身も充実の日々を実感している。不惑の40歳。4度目のダービーで手綱を握るのは、皐月賞2着の実力馬リアライズシリウス。「新馬戦からずっと乗っている馬と臨めるのは特別だし、今までで一番のチャンス。○○ジョッキーと言われるレースはダービーしかないし、当然勝ちたい。今年は出るだけではない」と力を込めた。

 【鹿島アントラーズ】津村はサッカーJ1・鹿島アントラーズの根っからのサポーター。調教時の正装であるレプリカユニホームの背番号は「14」=写真。鮫島駿と同級生のMF樋口雄太を推している。24年、ヴィクトリアマイルでG1初制覇を飾った後の樋口とのランチでは、思わぬ“副賞”があったとか。「選手全員のサインが入ったユニホームをくれた。家に大切に飾っている。宝物です」。

 鹿島は昨シーズン、16年以来9年ぶり9度目のJ1制覇。今年のJ1百年構想リーグの地域リーグラウンドでもEAST1位通過と好調を維持しており「いい流れで来てる。その勢いに乗りたい」と気合を入れる。「(G1を)1つ勝ったからいいや、では駄目。もう1個2個3個と、獲れるように頑張らないと」。推しクラブから受け継いだ“常勝魂”を胸に。鹿島戦観戦のためG1初制覇を見届けられなかった妻と息子2人の前で、今度こそVゴールを決める。

 【家族の存在】今年でデビュー23年目。支え続けてくれた家族への感謝は尽きない。「何より家族の存在が一番。みんながいたから、諦めずにここまで来られましたから」。中学1年生の長男は、毎週のようにレースを見るほどの大の競馬好き。時には“指導”を受けるそうで「やっぱり父が勝つ姿を見たいみたい。ああすればこうなるんじゃないか、みたいなことを言ってきてくれますよ。素人みたいなアドバイスですけど」と笑った。

 津村は競馬一家ではなく、一般家庭の出身。競馬が好きな父の影響を受けて、ジョッキーを志した。「父もまさか、ダービーで僕がこんな人気馬に乗っているとは思っていないだろうな」。愛する家族のため、天国の父のため。「いつまで乗れるか分からない。いつクビになってもおかしくない。だからこそ今年は結果を出したい」。恩返しVへの思いは強い。

 ◇津村 明秀(つむら・あきひで)1986年(昭61)1月5日生まれ、千葉県出身の40歳。美浦・鈴木伸厩舎所属で04年3月にデビュー。06年ラジオNIKKEI賞(タマモサポート)で重賞初勝利。JRA通算1万2515戦756勝(重賞27勝)。1メートル68、51キロ。血液型O。

 【取材後記】津村に助けてもらったことがある。昨夏、美浦トレセンで取材中に私が着ていたワイシャツのボタンの掛け違いに気づき「なんでみんな指摘してあげないの。恥かいちゃうでしょ」と笑い話にしてくれた。

 気さくで誠実。だから、人がついてくる。妹弟子の小林美は「本当に素晴らしい先輩。悩んでいたら、いつもアドバイスしてくれる」と尊敬の念を抱き、師匠の鈴木伸師は「本当にあいつは面倒見がいい。ありがたかった」と感謝。誰からも愛される津村のG1初制覇。涙した競馬関係者は少なくなかった。

 同期の丹内は、津村らしいあるエピソードを明かしてくれた。「津村さんの結婚式。新郎スピーチで男泣きしている姿を見て、僕ももらい泣きしちゃったよ。あの人はずっと変わらない。競馬学校の時から」。師匠が、同期が、後輩が、津村の2度目戴冠を待っている。(鈴木 悠貴)