2025.08.15
スポニチアネックス
“メイショウ軍団”松本好雄オーナー JRA個人馬主で史上初通算2000勝へあと1勝!「競馬が大好き」
最初で最後であろう金字塔まで、あと1勝!メイショウの冠名でおなじみの松本好雄氏(87)が個人馬主として初のJRA通算2000勝に迫っている。所有馬は重賞Vが懸かる「第73回中京記念」のメイショウシンタケをはじめ、今週も楽しみなラインアップ。14日、本紙の取材に応じ、王手をかけた現在の心境を語った。

“凄い”“とてつもない”という言葉以上の大記録が迫ってきた。個人馬主として、メイショウの冠名で約51年にわたり、JRAで積み重ねてきた勝ち星はなんと「1999」。先週10日の札幌8R・1勝クラスでメイショウタイピンが勝利し、大台の2000勝にリーチをかけた。松本オーナーは先週の勝利を見届け、現在の心境を語った。
「よくここまで競馬に携わってきたというか、全然意識せずにやってきたんでね。私は、とうに2000勝は超えていると思っていたんですが(笑い)。純粋にJRAだけの勝利数。本当にありがたいことです」
1日付紙面で「メイショウ通算2000勝へ、あと5勝」と報じ「あれは凄い反響でした。それから今週は競馬週刊誌で表紙を飾る特集を組んでいただいてね」とSNSでも取り上げられるケースが多く、今まで歩んできた道のりを、じっくり振り返っているという。
「本当に私の座右の銘である“人がいて、馬がいて、そしてまた人がいる”に尽きると思います。競馬の魅力は本当にたくさんありまして、大勢の思いが一つになって競馬に向かっているので」
特に馬産地とのつながりが深く長年、優しい思いを抱き、見守り続けている。
「小さな牧場で、ご夫婦で頑張っている方もいらっしゃってね。出走するまで大変なことも多いんです。そこで育った馬を私が馬主となり、厩舎に預けて、調教師さん、調教助手さん、厩務員さんが一生懸命、頑張ってくれて競走を迎えていく。ファンの方も盛り上げてくれる。この過程が楽しみなんです」
12年ぶりのJRA平地G1勝利となった今年の宝塚記念はメイショウタバルが逃げ切った。人がつないだ馬の縁、馬がつないだ人の縁が結実したドラマであった。
今週末、いよいよ迫っている大記録については「勝負事のことですからね。ゆっくり楽しみます。競馬が大好きですから」とさらり。明鏡止水という言葉がピタリと当てはまる。まずは無事にレースから上がってきてほしい。そして、いいレースをファンに見せてほしい。厩舎関係者から「これだけ義理堅いオーナーはいない」と慕われている巨匠。メモリアルの瞬間は競馬場全体が温かい拍手に包まれ、お祝いの輪が自然と広がっていくシーンが目に浮かぶ。
◇松本 好雄(まつもと・よしお)1938年(昭13)1月6日生まれ、兵庫県明石市出身の87歳。明石高校から千葉工業大卒。船舶用エンジンやエネルギー産業、航空機部品加工などを手がける株式会社きしろ代表取締役会長。74年に馬主資格を取得。冠名メイショウは「明石の松本」が由来で名将とかけている。主な所有馬にメイショウドトウ、メイショウボーラー、メイショウサムソン、メイショウマンボ、メイショウタバルなど。2005年より日本馬主協会連合会会長、現在は名誉会長。07年に紺綬褒章、10年に旭日小綬章を受章。座右の銘は「人がいて、馬がいて、そしてまた人がいる」。
《武豊が大記録後押し「貢献できたらうれしい」》先週土曜、JRA通算4600勝を達成した武豊(56、写真)も大記録達成を後押しする。「凄いことですよ。もう個人で2000勝することはないんじゃないかな。前人未到ですよ。長年、公私にわたってお世話になっている方。競馬界になくてはならない方ですから。素晴らしい人ですし、尊敬することだらけですよね」と松本オーナーに敬意を表す。今週は土曜札幌6Rメイショウゲキハを皮切りに、同オーナーの所有馬に3鞍騎乗する。「貢献できたらうれしいですね。自分で(2000勝を)決めたいという人はいっぱいいますよ」。レジェンドが2週連続メモリアルVを狙う。