2025.12.26

レッドレベンディス

12月21日の阪神競馬場は、雨にけむり、気温は13度。そんな寒空の下、レッドリガーレが朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ)に挑戦した。
デビューからわずか22日目で迎えた大舞台。さすがに勝利には届かず13着に終わったが、直線入口では好位に押し上げ、見せ場を作った。キャリア1戦でのGⅠ出走というだけでも夢のある挑戦だったが、その走りからは今後への期待も充分に感じられた。
その朝日杯フューチュリティSから約5時間遡った午前10時半過ぎ、第2レースが行われた。ダート1200メートルの2歳未勝利戦。16頭の出走馬の中に、白星の散りばめられた赤い勝負服のジョッキーを背にした馬がいた。
父はクリソベリル。母はレッドシャーロットで、母系を辿ればロードカナロアに行き着く血統の黒鹿毛牡馬。
レッドレベンディスである。
発走約10分前、パドックで騎乗合図がかかり、各馬にジョッキーが跨った。しかし、そこにレッドレベンディスの鞍上、武豊騎手の姿はなかった。前のレースに騎乗していれば、後検量や勝負服の着替えなどで慌ただしく、無理にパドックで跨らないケースもある。しかし、前のレースに乗っていない場合、基本的にはパドックで騎乗するのが通例だ。
ところがこの時、レジェンドは直前のレースに騎乗馬がなかったにもかかわらず、パドックでは跨らなかった。その理由を、レッドレベンディスを管理する庄野靖志調教師が明かす。
「テンションが上がり過ぎてしまうタイプの馬なので、ユタカさんにお願いして、パドックでは跨らず、地下馬道で乗ってもらうことにしました」
9月13日以来、3カ月以上ぶりの実戦だった事に加え、こうした配慮が功を奏したようだ。武豊騎手もレース後「落ち着いてレースに向かえました」と振り返った。
7番枠からスタートを切ると、道中は好位を追走した。気持ち噛んでいる感じこそあったものの、最終コーナーでは外から前を射程圏に捉えるポジションまで進出し、期待を抱かせた。だが最後の直線では、休み明けの影響もあってか、伸びそうで伸び切れず、結果は5着。それでも手綱を取ったレジェンドは前向きに、次のように語った。
「道中、少し力んで走っていた分、最後に追ってから伸び切れませんでした。ただ、間隔を開けて状態は良かったですし、ダート1200メートルという条件も合っていると思いました」
前走比プラス2キロの438キロだった馬体には、まだ成長の余地がありそうだ。ひと叩きされた次走、そしてその先に続く成長曲線に、大きな期待を寄せたい。
(撮影・文=平松さとし)