2025.06.20
サトノレーヴ、ロイヤルアスコット挑戦

今週末、現地時間21日(土)、イギリスのアスコット競馬場で行われるクイーンエリザベスⅡ世ジュビリーS(GⅠ)に、サトノレーヴ(牡6歳、美浦・堀宣行厩舎)が出走を予定している。
このレースは、直線芝1200メートルで争われる一戦で、5日間連続で開催されるロイヤルアスコットミーティングの最終日に組まれている。ロイヤルアスコットミーティングとは、イギリス王室主催の格式高い開催であり、競馬発祥の地として長い歴史を誇るイギリスにおいても、最も人気を集める開催の1つとされている。
舞台となるアスコット競馬場は、コースの起伏が激しく、芝丈が長いことでも知られている。いわば、日本の競馬場とは大きく異なる馬場設定であり、実際、これまで多くの日本調教馬がここで苦戦を強いられてきた。ただし、1000メートルから1200メートルのスプリント戦や1600メートルのマイル戦となると、その様相は少し変わってくる。
たとえば、2000年にはアグネスワールド(栗東・森秀行厩舎)が、同じロイヤルアスコット開催のキングズスタンドS(当時GⅡ、芝1000メートル)で2着に善戦していた。また、この2レースの勝ち馬には、両レースを制したショワジールを筆頭に、ブラックキャビア、テイクオーバーターゲット、ミスアンドレッティ、そして近年では22年のネイチャーストリップなど、オーストラリア勢の強豪が名を連ねている。さらに、リトルブリッジやケープオブグッドホープといった香港馬、17年のキングズスタンドS(GⅠ)を制したアメリカのレディーオーレリアのような馬たちもいる。
ちなみに、このレディーオーレリアを管理していたのはW・ウォード調教師であり、彼は3歳限定・芝1200メートルのGⅠ、コモンウェルスCでも、カンパネッレ(2位入線からの繰り上がりではあったが)を管理して優勝するなど、ロイヤルアスコット開催だけで20勝以上を挙げている伯楽だ。また、マイルのクイーンアンS(GⅠ)でも、アメリカのテピンが勝利を収めたこともあるように、非ヨーロッパ圏からの挑戦は数こそ多くはないものの、短距離戦においては結果を残してきた馬が多数存在している。これは、馬場への適性よりも距離適性の重要性を物語るデータとも言えるだろう。
さて、そうした見解からすれば、今年のサトノレーヴにも充分にチャンスがあると見ていいだろう。香港のチャンピオンスプリンターであるカーインライジングは、短距離界において現在、世界最強かつ最速の馬と称されている。そのカーインライジングを相手に善戦してみせたサトノレーヴならば、ヨーロッパの舞台で好走しても、なんら不思議ではないといえるのだ。
週末、私もイギリスへと足を運ぶつもりだ。現地から朗報を届けられる事を、心から願っている。
(撮影・文=平松さとし)
※無料コンテンツにつきクラブには拘らない記事となっております