2026.01.07
スポニチアネックス
【追憶のシンザン記念】12年ジェンティルドンナ 13年ぶりの牝馬V 輝かしい未来がはっきりと見えた
のちに牝馬3冠を達成し、ジャパンC連覇を成し遂げ、有馬記念で有終の美を飾って2度の年度代表馬。顕彰馬となって競馬史に残る名牝へと飛翔したジェンティルドンナ。その輝かしいキャリアにおいて、初めて重賞を制したのが、この一戦である。
99年フサイチエアデール以来、13年ぶりとなる牝馬によるシンザン記念制覇。非常にインパクトがあった。
12年の間、強い牝馬が挑戦していなかったわけではない。07年、あのダイワスカーレットは2着。のちに弥生賞、京都記念を勝ち、ダービー3着のアドマイヤオーラに屈した。シンザン記念の時点での完成度という点でこちらが上だったか。
桜花賞馬マルセリーナは11年3着。勝ち馬レッドデイヴィスはこの後、重賞2勝。2着は説明不要の名馬オルフェーヴルだった。メンバー的にも運がなかったか。
つまり、のちにクラシックを勝つ馬でも牡馬(レッドデイヴィスはセン馬)の前に負けてしまうのがシンザン記念だった。牡馬の壁を突き破ったジェンティルドンナにクラシックの期待が寄せられたのも当然だった。
その勝ちっぷりをもう一度、見直す。ジェンティルドンナは2番人気。1番人気は牡馬のトウケイヘイロー(4着)だった。のちに重賞を4勝する馬である。
鞍上はクリストフ・ルメール。4枠7番からスタートを切ったジェンティルドンナは楽に4番手につけた。
坂の下りでシゲルアセロラがスパート、リードを広げる。だが、ルメールに慌てる様子はなかった。シゲルアセロラとプレミアムブルーの間が空くと、真一文字に伸び、残り150メートルで先頭。インからジリジリと脚を伸ばしたマイネルアトラクトを抑え、悠々とゴールを駆け抜けた。
「なかなか思い通りの競馬というものはできないものだが、この馬はあっさりとやってくれる。大したものだ」と石坂正師(引退)は素質の高さに脱帽だ。
ただ、こんな言葉も漏らした。「これで桜花賞に行けるが、その時はルメールがいない。考えなアカン。悩みどころです」。そう。ルメールは当時、まだフランス所属で短期免許での来日だったのだ。
そのルメール。「クラシックを意識できる馬。好勝負の可能性はかなり高いと思う」と、その後の活躍を予言していた。
さて、ジェンティルドンナの後にシンザン記念を制した牝馬といえば18年アーモンドアイ。直線でしっかりと突き抜けるのを見て、ジェンティルドンナ級の輝かしい未来を予感したファンは多かっただろう。
この時のアーモンドアイの鞍上は戸崎圭太だったが、続く桜花賞からルメールの手綱に戻り、1着を積み重ねていった。この時はJRA所属となっていたルメール。ジェンティルドンナに乗り続けることができなかった無念を、アーモンドアイで晴らしたとも言えるかもしれない。
ジェンティルドンナは昨年11月25日、けい養先のノーザンファームで天に召された。16歳だった。