2025.12.26
スポニチアネックス
有馬連覇のシンボリクリスエス 名伯楽藤沢師とのドラマ
02年4月、青葉賞(G2)を制したのはシンボリクリスエスだった。同馬を管理した伯楽・藤沢和雄調教師(引退)は「この勝ち方ならダービーも楽しみだ!」と手応えを感じたという。
ところがレース直後、騎乗していた武豊騎手から「この馬は秋になってから、強くなりますよ」と告げられ、思わず肩を落としたそうだ。
その“天才騎手”の予見は的中する。続く日本ダービー(G1)では、武豊騎手が騎乗したタニノギムレットの2着に敗れたが、ひと夏を越えて臨んだ天皇賞・秋(G1)で見事にG1初制覇を果たした。3歳馬に天皇賞が再開放されて以降、実際に勝利したのは、同じ藤沢厩舎のバブルガムフェロー以来、史上2頭目という快挙だった。
さらにジャパンC(G1)3着を挟み、年末の有馬記念(G1)も制した。
シンボリクリスエスの快進撃は翌年も続いた。天皇賞・秋をレコードタイムで連覇。道悪となったジャパンCでは、先行した2頭を捉え切れず再び3着に敗れたが、ラストランとなる有馬記念には1番人気で駒を進めた。
「勝っても負けても、この一戦を最後に種牡馬入りすることが決まっていたので、正直、仕上げは難しかったです」
藤沢師は当時、そう言っていた。
ところが、ふたを開けてみれば9馬身差の圧勝。有終の美を飾った直後、藤沢師は苦笑しながらこう語った。
「これが最後だからと、オリビエ(騎乗したペリエ騎手)が後先を考えずに追ったからね…」
ちなみに同レースでは、同じ藤沢厩舎で1歳年下のゼンノロブロイが3着。
「クリスエスが“ロブロイ君、後を任せて大丈夫かい?”と言っているように見えました」
伯楽はそう表現したが、ゼンノロブロイは翌年、天皇賞・秋→ジャパンC→有馬記念を3連勝。シンボリクリスエスでも成し遂げられなかった偉業を達成するのだった。
さて、今年の有馬記念ではどんなドラマが待っているだろうか…。 (フリーライター)