2025.08.20
スポニチアネックス
【追憶の新潟2歳S】01年バランスオブゲーム ダビスタ作者がついに手にしたリアル重賞
「面白い配合」「マチカネイワシミズ」「なんか様子がヘンです」。はい、この3ワードにゾクッと来た方、ダービースタリオンにハマった過去をお持ちですね。

かく言う筆者も第1作からハマったクチ。徹夜で名馬育成に励んだことを思い出す。ああ、懐かしの軽快なBGMが頭の中でこだまする。調教は「ダート・単走・強め」、騎手は「おたべ」がめったに乗ってくれないので「しばたま」か「てきば」が多かった…。
おっと、前段が長くなったが、今回は全国のダビスタファンが感謝してやまない、ダービースタリオンシリーズの作者、薗部博之氏が馬主として初めて重賞を制した一戦を取り上げる。
ゲーム作家としてダビスタで成功を収め、実際の馬主界へと足を踏み入れた薗部氏。スタープログラマー(葵S=当時オープン)などで着々と地固めし、満を持して99年セレクトセールで手に入れたのがバランスオブゲームだった。
新潟の芝1000メートル戦で新馬勝ち。2戦目となった新潟2歳Sは5番人気にすぎなかった。
3番手で楽に流れに乗る。直線では最内へ。あっという間に抜け出した。鞍上・木幡初広(引退)が追い出すと、後続との差がみるみる広がる。5馬身差をつけての圧勝だ。
「猫のようにおとなしい、と(前走で騎乗した)カツハル(田中勝春騎手=現調教師)から聞いていたのに、全然そんなことなかったよ。返し馬では元気いっぱい。レースでは落ち着いていたけどね」。木幡騎手は苦笑しつつ振り返った。
「後ろから音がしないし、これは何も来ないな、とは思ったけど、最後までしっかり追ったよ。まあ、土産代は稼げたね」と笑顔で語り、びっしょりの汗を拭った。
薗部オーナーは興奮冷めやらぬ様子だった。「ゴール前は絶叫しっぱなし。本当にびっくりしましたよ」。スタープログラマーでも所有馬の圧勝は経験していたが、やはり重賞の舞台は違ったようだ。
「父はダービー馬のフサイチコンコルドだし、もっと距離が延びてからと思っていた。こんな早い時期から活躍するなんて…」(薗部氏)
ふふふ、実際の競馬はダビスタのようにはいかないんですよ。というか、ダビスタでも血統通りにはいかないこともありますけどね。ははは、こんなことを言っている時点で薗部氏の手のひらで踊らされているようなものだが…。それもまたいい。
この勝利は宗像義忠師(引退)にとっても初重賞制覇となった。薗部氏は早くから「宗像厩舎の初重賞制覇は自分の馬で」と表明しており、その希望もかなった形となった。
だが、指揮官はあくまで冷静。「この先、気性面の若さが抜けていけば、いい馬になるんじゃないかな」。まさか、この1勝を含め、重賞7勝を挙げるほど出世するとは思わなかっただろうが…。
トレセンで話を聞くと「ダビスタで競馬の面白さに目覚め、この世界を志した」という人が多いことに驚く。今の日本競馬の隆盛はダビスタが支えている部分も大きいのではないか。競馬ファン、関係者は薗部オーナーに足を向けて寝られない。筆者もその1人であることは間違いない。