2026.10.09
凱旋門賞のグラファール調教師
現地10月4日、フランスのパリロンシャン競馬場で凱旋門賞(GⅠ)が行われた。
注目度の高いレースだったため、すでにご存じの方も多いだろうが、結果はダリズの連覇。日本から挑んだ2頭は、今年も頂には届かなかった。
勝ったのは、地元フランスの新たなリーディングトレーナー、フランシス・アンリ・グラファール調教師が管理するダリズ。カランダガンを育てた若き伯楽は、2年連続でダリズをヨーロッパ最大のレースの頂点へ導いた。
凱旋門賞の連覇といえば、近年では17、18年のエネイブル、13、14年のトレヴが記憶に新しい。ただ、この2頭はいずれも牝馬だ。牡馬の連覇は、1977、78年のアレッジド以来、実に48年ぶりという大偉業である。
牡馬の連覇が少ないのには、はっきりとした理由がある。
成績や年齢を問わず繁殖に上がれる牝馬と違い、種牡馬として牧場に戻れる牡馬はほんのひと握りだ。賞金の高い凱旋門賞など一部のレースを除けば、ヨーロッパの賞金水準は決して高くない。現役で稼ぎ続けるより、種付け料で得る収入のほうが圧倒的に大きいのだ。そのため、好成績を残した馬は、現役を続けて傷を負うリスクを冒すよりも、早めに種牡馬入りしたほうが経済的な利点は大きい。
実際、23年に無傷の6連勝で頂点に立ったエースインパクトは3歳で引退した。20年のソットサスもこの勝利を手土産に現役を退いた。この傾向は当然、昔から同様で、たとえばディープインパクトが挑んだ06年の覇者レイルリンクもそうだった。ディープインパクトに土をつけながらも翌年のさらなる飛躍は期待せず、3歳であっさりと牧場へ戻っていった。彼らが牝馬だったなら、翌年も連覇を狙って現役を続けていた可能性は高いだろう。
今回勝ったダリズも、これで引退して種牡馬入りする公算が高いようだ。そう考えると、賞金が高く、牡馬でも古馬になってからの活躍を長く見られる日本競馬は、ファンにとって実にありがたい環境とも言える。
出来ることなら来年、3連覇をかけて凱旋門賞に挑むダリズと、それを阻もうと立ち向かう日本馬の戦いを、パリロンシャンで見届けたいと考えてしまうのは、贅沢な願いだろうか……。
(撮影・文=平松さとし)
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