2026.07.09

上原佑紀調教師とルージュリリック

ダイワメジャーを管理したことでも知られる上原博之調教師を父に持ち、イギリスの名門・ウィリアム・ハガス厩舎で経験を積んだ若手調教師が上原佑紀調教師だ。
 1990年生まれの36歳。2023年に厩舎を開業すると、わずか4年目ながら、25年のスプリングS(GⅡ)をピコチャンブラックで制したのを皮切りに、今年の青葉賞(GⅡ)を勝ったゴーイントゥスカイまで、すでに重賞4勝をマーク。今年の日本ダービー(GⅠ)には4頭を送り込むなど、活躍目覚ましい新進気鋭のトレーナーである。
 その上原佑調教師が今週の織姫賞に送り出すのが、ルージュリリック(牝3歳)だ。
 前走のカーネーションCでは好スタートから果敢にハナを奪ったものの、道中で掛かり気味に上がってきた馬に絡まれ、2番手へ控える形に。厳しい展開かと思われたが、直線では堂々と抜け出して見せた。最後は差し馬2頭にかわされて3着に敗れたものの、内容は「負けて強し」と評していいものだった。もちろん、若き指揮官も悲観はしていない。
 「勝てなかったのは残念でしたが、競馬の内容自体は悪くありませんでした。あの走りなら小回りコースも合いそうですし、福島に舞台が替わるのはプラスになると思います」
 鞍上は、未勝利時代にも手綱を取った荻野極騎手に戻る。同騎手も状態の良さを感じ取っている。
 「中間は直接乗っていませんが、調教パートナーに騎乗して動きは間近で見ていました。いい雰囲気で動けていました」
 初勝利までは新馬戦から5戦を要した。その間、未勝利戦で2度騎乗した荻野極騎手は、当時と現在の違いをこう分析する。
 「勝てていなかった頃から、すべてにおいて平均点以上の馬でした。これといった欠点はない一方で、強調できる武器もまだなくて、そのぶん勝ち上がるまで時間がかかった印象です。でも、今は馬自身がすごく良くなっていて、上のクラスでも充分に戦える力をつけてきたと感じています」
 この見立てに、上原佑紀調教師も首肯して、言う。
 「もともと素質を感じていた馬なのは間違いありません。おとなしくて気性面にも不安がなかったので、成長してくれば勝ち負けできるようになると思っていました。思い描いていた通りに心肺機能が強化され、本格化してきたと思ったら、勝ち上がってくれました」
 ゆくゆくは「大きいところを狙いたい」と見据える上原佑紀調教師。その青写真を現実のものとするためにも、ここはぜひ結果を残して弾みをつけたい一戦だ。ルージュリリックの走りに、大いに期待したい。
(撮影・文=平松さとし)