2026.05.21

レッドディザイアのオークス

今週末、東京競馬場で通称「オークス」こと優駿牝馬(GⅠ)が行われる。
 2009年、この樫の女王決定戦に2番人気で挑んだのが、レッドディザイア(栗東・松永幹夫厩舎)だった。
 同馬がデビューしたのは、その年の1月。
 「走るかどうかは分からなかったですが、牝馬にしては馬格があり、それでいてバランスも良い。それが最初の印象でした」
 松永調教師は、牧場で初めて対面した際のレッドディザイアについてそう振り返り、さらに続けた。
「実際にトレセンへ入ってからは調教の動きも良く、デビュー戦もあっさり勝ってくれました」
 続くエルフィンSも連勝し、3歳牝馬クラシック第一弾・桜花賞(GⅠ)へと駒を進めた。
 わずか2戦のキャリアで迎えたGⅠ挑戦。それでもファンは、彼女を2番人気という高い支持で迎えた。
 「ただ、1頭強い馬がいましたからね。胸を借りるつもりで挑戦しました」
 前年の阪神ジュベナイルF(GⅠ)を制し、JRA賞最優秀2歳牝馬にも選ばれていたブエナビスタこそ、松永調教師の言う“強い馬”だった。
 そのブエナビスタは、3歳初戦のチューリップ賞(GⅢ)を楽勝。桜花賞では単勝1・2倍の圧倒的1番人気に推されていた。
 一方のレッドディザイアは2番人気ではあったが、単勝オッズは14・4倍。それでもレースでは直線で一度先頭に立つ場面を作り、最後は差されたものの半馬身差の2着に健闘した。
 全く歯が立たない相手ではない。そう思わせる内容に、続くオークスでの雪辱へ期待は高まった。
 東京2400メートルに舞台を移しても人気順は変わらなかった。しかし、オッズ差は桜花賞時よりも縮まっていた。ブエナビスタが1・4倍、対するレッドディザイアは6・0倍。
 桜花賞では半信半疑だったファンも、この時にはレッドディザイアの実力を確かに認めていたと窺い知れる数字だった。
 だが、結果はまたしても惜敗に終わった。今度は、わずかハナ差。松永調教師は今でも悔しそうに当時を振り返る。
 「差が差だけに、あそこまで行ったら何とかならなかったかなぁ……という気持ちはあります。でも、レッドディザイア自身は本当によく頑張ってくれましたし、秋になれば……と期待を抱かせてくれる結果だったのは間違いありません」
 実際、その後の秋華賞(GⅠ)では宿敵ブエナビスタを破り、牝馬三冠を阻止することになる。
 だが、その物語はまた別のお話。機会があれば、あらためて記させていただこう。
(撮影・文=平松さとし)