2026.04.17
レッドルーラー
今週末、皐月賞(GⅠ)が中山競馬場で行われる。
2013年、この3歳クラシックに挑んだのがレッドルーラーだ。結果は、残念ながら異常歩様により最下位の18着。しかし、梅花賞、若駒Sと連勝して臨んだ実績から、ダークホースとして推す評論家もいるほど、密かに注目を集めていた。
当時、同馬を管理していた松田博資調教師(引退)は、こう振り返っている。
「デビュー当初は、トモがヨレるほど緩さのある馬でした。でも、梅花賞あたりからだいぶしっかりしてきました」
その成長は「思惑通りだった」といい、さらにこう続けた。
「良い馬だという感触はあったので、しっかり乗り込めるようになれば、いずれ体は締まってくるだろうという手応えは感じていました」
実際、皐月賞前の状態は良好だったといい、次のように語っていた。
「体が締まり、しっかり走れるようになっていましたし、馬体重も絞れていました(デビュー戦は500キロだったが、皐月賞出走時は486キロ)。気性的に、折り合いには不安がありません。だから、あとは展開ひとつで、一発があってもおかしくないと思っています」
「展開ひとつ」というのは、この馬が序盤は後方で脚をためるタイプだったから。差しの決まる流れになれば……。そんな期待が込められていたのだろう。
だが結果は、前述の通り。異常歩様により力を出し切れないまま、見せ場なく最後方でゴールを迎えることとなった。
もし、あの日すべてが順調だったなら……。直線、溜め込んだ末脚を一気に解き放ち、白い星を散りばめた赤い勝負服が、他馬をのみ込むように伸びてくる。そんな光景が、春の中山の空の下に描かれていたかもしれない。
叶わなかった一戦。だが、その“もしも”こそが、競馬というドラマを、より深く、そして美しく胸に刻み込むのではないだろうか……。
(撮影・文=平松さとし)