2026.01.15

京成杯と吉田豊騎手

今週末、中山競馬場では京成杯(GⅢ)が行われる。
 今から6年前の2020年、この明け3歳馬による芝2000メートルの重賞を制したのがクリスタルブラックだった。
 単勝オッズ20.9倍、12頭立て7番人気という伏兵を管理していたのは、美浦・高橋文雅調教師。鞍上は吉田豊騎手だった。
 高橋文雅調教師が美浦トレセンで働き始めた際、所属していたのは大久保洋吉厩舎。その厩舎の先輩に、吉田豊騎手がいた。年齢こそ高橋調教師の方が上だったが、厩舎では後輩という立場だった。しかし同じ志を持つ者同士、いつしか気のおけない間柄になっていった。
 その良好な関係は、高橋文雅調教師が調教師として開業した後も変わることはなかった。
 17年、吉田豊騎手はレース中の落馬事故により、1年以上の休養を余儀なくされる大怪我を負った。それでも19年に復帰すると、高橋調教師は以前と変わらず騎乗依頼を続けた。そうした中で新馬戦を勝ち上がったのが、クリスタルブラックだった。
 そして、同馬の2戦目として挑んだのが京成杯。吉田豊騎手は当時をこう振り返る。
 「デビュー前のゲート練習や調教にも乗せてもらいましたが、とても良い馬だと感じていました」
 そのベテランの感触に誤りはなかった。クリスタルブラックは新馬戦に続く連勝で、見事に重賞初制覇を果たした。
 「新馬戦もそうでしたが、京成杯でもスタートは右にヨレながら、少しモサッと出る感じでした。でも道中の手応えは終始良く、ただ3コーナーあたりでは前にかなりの馬がいたので、正直厳しいかとも思いました」
 しかし最終コーナーで大外へ持ち出し、ゴーサインを出すと一気に加速。先行勢をまとめて差し切り、デビュー2戦目での重賞制覇を成し遂げた。それは高橋文雅調教師にとっても、開業以来初の重賞勝利だった。
 吉田豊騎手は続ける。
 「怪我をして苦しい時期に、以前と同じように声をかけていただきました。だからこそ、勝って少しでも恩返しができればと思っていました。それだけに、本当に良かったです」
 あれから6年。今年はどんなドラマが待っているのだろうか。18日の日曜日、中山競馬場第11レースに注目したい。
(撮影・文=平松さとし)
※無料コンテンツにつきクラブには拘らない記事となっております