2025.07.10

昨年の七夕賞はレッドラディエンスが勝利

今週末、福島競馬場では七夕賞(GⅢ)が行われる。
 ちょうど七夕当日の7月7日に行われた昨年のレースを制したのが、東京ホースレーシングのレッドラディエンスだった。管理していたのは、栗東の友道康夫調教師。日本ダービー(東京優駿・GⅠ)を、マカヒキ(2016年)、ワグネリアン(18年)、ドウデュース(22年)で3勝している伯楽である。
 「転厩馬で、最初の頃は幼かったのですが、骨折によって休養を余儀なくされたのが逆に良かったのかもしれません。精神的に大きく成長してくれたことで、重賞制覇につながったのだと思います」
 レース後、友道調教師はそう語っていた。
 その横で、安堵の表情を浮かべながらレッドラディエンスを曳いていたのが、前川和也調教助手だった。
 「自分の担当馬ではないのですが、今回は現地に臨場することになって。勝ってくれたので本当に良かったです」
 そう話していた前川助手は、実は前出のダービー馬ドウデュースの持ち乗り調教助手でもあった。
 このとき、七夕賞でレッドラディエンスと4度目のタッグを結成していたのが戸崎圭太騎手だった。初コンビは22年7月、舞台は七夕賞と同じ福島芝2000メートルの猪苗代特別(2勝クラス)。このときはマイネルマーティンに3/4馬身差の2着と健闘していた。
 その後も七夕賞の前に2戦連続で騎乗した。まずは2月の東京競馬場で行われたJRAウルトラプレミアム・コパノリッキーカップ(3勝クラス)。トップハンデの58キロを背負いながらも、2着のトーセンリョウに1馬身差をつけて勝利。続く5月のメトロポリタンステークス(オープン)では、バトルボーンの2馬身差2着となった。こうして七夕賞に駒を進めてきた。
 「競馬の上手な馬なので、乗りやすいです。メトロポリタンSでは勝ち馬の流れに持ち込まれてしまっただけで、内容としてはしっかり走ってくれていました」
 前走の敗因について、戸崎騎手はそう振り返り、さらにこう語っていた。
 「オープンでも力負けではないと思える内容だったので、七夕賞でも自分がうまく乗れれば恥ずかしい競馬にはならないと信じていました」
 実際、戸崎騎手が巧みだったのは、いつもより後ろの位置取りにつけた点だった。前走のメトロポリタンSでは、メンバー中最速の上がりを使いながらも、逃げ馬を捉え切れずに惜敗。普通なら早めに動きたくなる場面だったが「出走メンバー的に速い流れになりそうだったから……」という自身の読みを信じて、中団に控えた。
 この判断が奏功した。レースはテンから10秒台のラップが続くハイペース。先行勢が総崩れとなる中、レッドラディエンスは鋭い末脚を炸裂させ、2着キングズパレスに2馬身差をつけて快勝。見事、重賞初制覇を飾ったのだった。
 あれから1年。今年の七夕賞では、どんなドラマが待っているのだろうか。今から楽しみでならない。

(撮影・文=平松さとし)