2025.05.09

ケンタッキーダービー

ご存じのように先週、現地5月3日の夕方、アメリカのケンタッキー州にあるチャーチルダウンズ競馬場でケンタッキーダービー(GⅠ)が行われた。
 同競馬場のあるケンタッキー州は朝から雨が降り続き、舞台となるダート2000メートルはまさに泥田のような馬場状態。どれだけ気をつけておとなしく歩いたところで靴はドロドロになり、靴下まで泥水が染みるような状況。“スポーツの中で最もエキサイティングな2分間”と言われるケンタッキーダービーの直前には、毎年、出走馬関係者が出走馬と連れ立って、向こう正面にある厩舎から日本流にいう2コーナー→1コーナーを通過し、更にゴール前を横切ってパドックへ向かって行進するという風習がある。まるで大名行列さながらのその圧巻の光景はまさに5月のチャーチルダウンズ競馬場の風物詩なのだが、これだけ馬場が悪くなると、歩くのを断念した関係者もいるようだ。とくに女性にとってはせっかくの着飾ったドレスが泥だらけになり、2度と使えなくなる可能性も高いのだから、致し方ないところだろう。
 さて、そんな馬場で行われた今年は、既報の通り日本馬は2頭が出走。ルクソールカフェ(牡3歳、美浦・堀宣行厩舎)が12着、アドマイヤデイトナ(牡3歳、美浦・加藤征弘厩舎)は残念ながら最下位19着に沈んだ。そして、後者の手綱を取ったC・ルメール騎手が「経験した事のない馬場状態で、途中から馬が進んで行かなくなってしまいました」と語ったのも頷けた。
 もっとも馬場状態に関しては出走馬の皆が同じ条件。あれだけ悪い馬場となると、地元アメリカの馬達だってそう経験はなかったはずなのだ。それでも勝ったソヴリンティや2着のジャーナリズム等、人気馬がそれなりに走って結果を残したのだから、グランドだけを敗因として言い訳には出来ないだろう。
 昨年僅差の3着に善戦したフォーエバーヤング等の例もあり、昨今、強くなったと言われて久しい日本馬だが、欧州の芝2400メートル戦同様、北米のダート2000メートル戦は、近そうで遠い誇り高き頂なのだろう。
(撮影・文=平松さとし)

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