2025.05.01
マイケル・ディー騎手

今週末、5月3日の土曜日、東京競馬場で京王杯スプリングC(GⅡ)が行われる。
ここに出走を予定しているのがレッドモンレーヴ(牡6歳、美浦・蛯名正義厩舎)だ。鞍上はマイケル・ディー騎手を予定している。
1996年4月13日生まれのM・ディー騎手。父リチャードさん、母ジョーさんの下、ニュージーランドのホークスベイで生まれ、兄と妹と共に育てられた。
父は元トップ調教師。だから自身も幼い頃から馬に乗っていた。
「何歳で初めて乗ったのかは分かりません。物心がついた時にはもうポニーに乗っていましたから……」
そんなお陰もあり、12歳の時には馬術でジュニアのニュージーランド代表に選出され、コロンビアで行われた世界大会に出場した。
高校入学と同時に馬一本の生活に切り替えると、3年で高校を辞め、競馬学校に通いながら、騎手デビューを果たした。
「週に3日、調教に乗り、競馬学校へは2週に1回行くだけで良いシステムでした。調教師から許可が下りれば卒業前でも見習いとしてデビュー出来るので、僕もレースに乗らせてもらえました」
初騎乗で2着になると、自身2鞍目となるその日のメインのカップレースでも3着と上々のスタートを切った。
「勝つ事は出来なかったけど、自信にはなりました」
「初勝利には15戦ほどかかった」と続けるが、その後は師匠に恵まれ順風満帆なスタートを切れたそうだ。
「最初はケビン・マイヤーズという調教師で、農家だった彼の家の牛の世話までさせられたけど、厳しい反面、フェアーな人だったので、そういう事にも一所懸命にやって応えていると、チャンスを与えてくれました。
彼の下にいた2013年にはヘラという馬でエイトカラットクラシック(GⅡ)を優勝し、自身初の重賞制覇を飾った。
その後はオーストラリアへ渡った。
「そこではM・プライスという調教師の下で乗りました。彼もまた厳しいけど、騎乗機会を与えてくれたので、遣り甲斐がありました」
2017年9月にファウンダリーという馬でザメトロポリタン(GⅠ)を勝利。自身初のGⅠ勝ちを飾ると、僅か1カ月半と経たないうちにケネディマイル(GⅠ)を優勝しGⅠ2勝目。更に年明けの3月にはヴァイナリースタッドS(GⅠ)も制してアッと言う間にGⅠを3勝。17/18年シーズンは80勝を挙げ、自身の1シーズン最多勝をもマークすると、その後は順調に一流ジョッキーへの道を歩むようになった。
「香港やマカオでも乗りましたが、いつか日本へ行きたいという気持ちは常に持っていました。今回、初めて日本で乗る事が出来て嬉しいですが、しっかり結果で応えなくては、という気持ちも強く持っています」
4月30日の美浦トレセンには彼を騎手の道へと誘った父のリチャードさんの姿もあった。
ちなみにレッドモンレーヴには調教では跨っていないが、蛯名調教師は「先入観を持ってほしくないから……」とその理由を語った。正真正銘のテン乗りで、好騎乗を見せてくれる事を期待しよう。
(撮影・文=平松さとし)