2026.09.18
スポニチアネックス
オールカマーをステップに世代最強牝馬へ昇華したメジロドーベル
【競馬人生劇場・平松さとし】今週末、中山競馬場ではオールカマー(G2)が行われる。
昨年のレガレイラをはじめ、この距離の路線としては驚くほど牝馬の活躍が目立つレースだが、今から30年近く前に、3歳牝馬という身でここを勝利したのがメジロドーベルだ。
97年、オークス(G1)を制したメジロドーベルの、秋の目標は秋華賞(G1)。陣営はステップレースとして古馬の、それも牡馬が相手になるオールカマーを選択した。主戦だった吉田豊騎手は言う。
「大久保洋吉先生(メジロドーベルの管理調教師で、吉田豊騎手の師匠)と話し合って、本番までの間隔やメンバーを考慮した結果、オールカマーへ向かいました」
すると、なんと1番人気に推された。
「ただ、自信はありませんでした」
吉田豊騎手はそう言うと、理由を続けた。
「少頭数で、スローになりそうでした。休み明けで元気だったこともあり、そんなペースだとかかってしまう心配をしました」
その不安は当たってしまった。ゲートが開くと、メジロドーベルはすぐに行きたがるそぶりを見せた。
「抑えようとしたら、スタンド前で大喚声が起きてしまい、完全に引っかかってしまいました」
そこで臨機応変に対応した。無理に抑えてケンカになるより、譲った方が良いと判断。ハナへ行った。
すると、先頭に立ったことで落ち着いたのか、折り合った。結果、前半1200メートルを1分16秒2の緩い流れで先導でき、余力十分に逃げ切ってみせた。
「こういう競馬でも勝てたのは大きい」
笑いながらそう言ったのは大久保洋吉調教師。しかし、吉田豊騎手は一抹の不安を感じていた。
「“本番の秋華賞でもかかったら、果たして同じような競馬ができるだろうか?”と思うと“無理をしてでも抑えた方が良かったのか!?”と後悔をしました」
しかし、結果は秋華賞も優勝。世代最強牝馬へ昇華するのだった。果たして今年のオールカマーはこの先、どんなドラマへつながるだろう。期待して見たい。(フリーライター)