2026.07.15
スポニチアネックス
芳賀雅広師 新たなホースマン人生に胸躍らせる「ハッピーな厩舎をつくりたい」
日々トレセンや競馬場で取材を続ける記者がテーマを考え、自由に書く東西リレーコラム「書く書くしかじか」。今週は大阪本社の新谷尚太(49)が昨年、NAR(地方競馬全国協会)の調教師免許試験に合格した兵庫・芳賀雅広師(54)を取り上げる。開業前に東西トレセンでの研修を実施。競馬と出合った経緯から今回の研修で感じたことを聞いた。
つい先日、栗東トレセンで矢作厩舎の厩舎服を身にまとった見慣れない姿があった。昨年12月1日付で地方競馬の調教師免許を取得した兵庫所属の芳賀師だった。「これから調教師として今までとは違った立場になるので、気が引き締まる思いです」と新たなホースマン人生のスタートに胸を躍らせる。
競馬とは無縁の家系で育ったが、兄が見ていた競馬中継で興味を持った。「オグリキャップ、タマモクロスなど芦毛が活躍していた時期で社会現象にもなっていました」と懐かしむ。大学在学中の就職活動で、この道へ進む決意を固めた。「就職難という時代が重なった。ならば大好きな競馬に関係する仕事に就こうと専門紙など、さまざまなところへ面接に行きました」。
何社も受けた中で、栃木県の東京サラブレッドビューロー(ゲイリーの冠名で競走馬を所有)へ入社。「現地へ行ったら育成牧場でした(笑い)。ここでゲイリーイーグル(97年小倉記念)、ゲイリーファンキー(99年新潟3歳S)などJRA重賞を勝った馬に乗る機会がありました。8年ほど勤めて、いろいろなことを学ばせてもらいました」とホースマンとしての第一歩を振り返った。
ここで学んだ経験が実を結び、大きな転機を迎えた。園田で開業していた橋本忠男師と出会い、厩務員生活がスタート。「3頭持ちから始まって、オープン馬を手がけさせてもらいました。運も良かったですが、先生には感謝しかなかった。あの経験が大きな糧となりました」。今までと違った視点で馬づくりに励んだ。
昨年、調教師試験に合格。「(所属していた)田中範雄先生とご子息の一巧先生が矢作先生と交流があり、今回の研修をさせていただく形となりました」と経緯を明かす。栗東の矢作、清水久厩舎だけでなく、美浦の大竹、久保田厩舎でも研修。「美浦では施設の広さに圧倒された。迷子になりましたよ(笑い)。坂路は美浦の方が幅があって乗りやすいし、調教場へ向かう動線も分かりやすい。ただ、栗東は逍遥(しょうよう)馬道が優れていました。高低差のあるアップダウンで馬を鍛えられることができるなと感じました」と両トレセンの特徴をつかんだ。
厩舎開業後の未来像を思い描きながら過ごした充実の日々。「各厩舎のルーティンや特徴を肌で感じることができ、財産になった」と収穫を口にする。特に「矢作厩舎はスタッフのレベルが非常に高かった。最終的にここを目指していきたい」と目標を掲げた。今年の12月前後に厩舎を開業する予定。「スタッフが楽しく働けて、全ての関係者がハッピーになれる厩舎をつくりたい」。記者は以前、園田競馬を担当。その縁もあり、芳賀師の開業する日を楽しみに待ちたい。
◇芳賀 雅広(はが・まさひろ)1972年(昭47)4月10日生まれ、東京都出身の54歳。栃木県芳賀郡にある育成牧場の芳賀牧場(現在はトゥモローファーム)で育成に携わる。その後、兵庫・橋本忠男厩舎で厩務員をスタート。森沢憲一郎厩舎、吉行龍穂厩舎を経て、田中範雄厩舎所属時だった昨年にNAR調教師試験に合格。