2026.05.28

スポニチアネックス

【ダービー】抽選組ケントンで18年目の初舞台を祈る田島俊明師

 日々トレセンや競馬場など現場で取材を続ける記者がテーマを考え、自由に書く東西リレーコラム「書く書くしかじか」。今週は美浦取材班の万哲こと小田哲也(58)が担当、ダービーで抽選対象のケントンに熱視線を送る。再コンビの丹内が騎乗した最終追いは上々の動き。09年開業の田島俊明師(52)に初めてのダービー切符は届くのか?

丹内を背にWコース併せ馬で追い切るケントン(右)=撮影・河野 光希

 美浦のダービー水曜追いのトリを務めたケントンに引き込まれていた。いわゆる「抽選組」。再コンビ丹内が騎乗し、Wコースで6F81秒5~1F11秒7(馬なり)。外の先輩ルシード(4歳オープン)の勢いに圧倒されながらも内で食い下がり、半馬身遅れで駆け抜けた。引き揚げてきた丹内と打ち合わせを終えた田島師の顔は晴れやかだ。

 「(併せた)ルシードはかなり稽古走りますから。良かったと思いますよ。やればやるだけいいという馬でもないですし、疲れを残さない形で加減しながらいい調教ができました」

 23年に生産された7944頭のサラブレッドで、わずか18頭しか出られない狭き門。登録した当初は除外対象だったが、ベレシートの回避で、同じ賞金のカフジエメンタールと“2分の1”の抽選までこぎ着けた。指揮官にとって幼少期から切望していた夢舞台だ。

 「小学校の時に、東京競馬場の乗馬苑に通っていたので…。ダービーという言葉はすぐ覚えました」

 92年10月に美浦・小林常泰厩舎の調教厩務員として競馬人の道が始まった同師の初ダービーは、高橋裕厩舎の助手時代の97年。青葉賞を快勝して挑んだトキオエクセレントだった。

 「パドックは2人で引いたんですが、独特の雰囲気が凄かった。ダービーの熱気を体感できました…。今でも思い出します」

 話は戻って、ケントンは2走前の山吹賞(中山芝2200メートル=やや重)は好位から伸び、粘り勝った。シンボリクリスエスやゼンノロブロイも勝ち上がった出世レース。ダービー優先出走権を懸けた青葉賞(10着)は動けなかったが、出走の望みはつながった。「前走で舞台を経験できたのは良かったと思います。折り合いに関しても問題ない。雨でも降ってくれれば。暑いのは正直得意ではないので、風が吹いてくれれば…。何かが起きてくれれば」。09年の厩舎開業から18年目。「今度は、厩舎のみんなと一緒にダービーの舞台に立てればと思います」。田島厩舎として、ダービー初出走を心待ちにしている。

 運命の抽選は28日午後2時過ぎ、コンピューターにより自動で決定される。

 「あとは出馬投票ですね。何とか入ってくれれば」と同師は祈った。父リアルスティールの父は05年3冠馬ディープインパクト。母の父ディープスカイは08年ダービー馬。晴れ舞台にふさわしい血は宿っている。確率は50%。抽選クリアを願わずにはいられなかった。

 【1週前チェック】併せ馬で先行して楽々先着。低重心のフォームで脚さばき滑らか。

 ▽出走馬の馬番&決定方法 各競走の馬番(枠順)は、公開抽選で行われる有馬記念を除き、全てコンピューターで自動的に決定される。出馬投票馬が出走可能頭数を超過した時に出走できる馬を抽選する際にも、全てコンピューターで自動的に決定。

 ◇小田 哲也(おだ・てつや)1967年(昭42)12月15日生まれ、埼玉県出身の58歳。大学時代は競馬仲間と横断幕作りに没頭し、ダービーではメジロアルダン(88年)やロングシンホニー(89年)など掲示。グリーンチャンネル「中央競馬全レース中継」のパドック解説を担当中。