2026.04.07

スポニチアネックス

【桜花賞】ドリームコア ソメイヨシノのように“開花”成長途上でも大きな筋肉

 ◇鈴木康弘氏「達眼」馬体診断

成長途上でも大きな筋肉を身に付けたドリームコア

 ソメイヨシノのように開花するのは母譲りのスーパーボディーだ。鈴木康弘元調教師(81)がG1有力候補の馬体ベスト5をセレクトする「達眼」。「第86回桜花賞」(12日、阪神)ではドリームコア、リリージョワ、スターアニス、フェスティバルヒル、ブラックチャリスをピックアップした。中でも達眼が捉えたのはドリームコア。成長途上でも大きな筋肉を身に付けた桜の女王候補だ。

 桜(ソメイヨシノ)満開の便りが全国各地から届いています。先週末には仙台、福島、大阪、金沢、福岡、鹿児島…。今週には長野、新潟でも満開になりそうです。通常、植物は葉をつけてから花が咲くのに、ソメイヨシノは順序が正反対。葉が出る前に開花する。ドリームコアの成長過程と一緒です。

 成長のバロメーターであるキ甲が突き出る前にたくましい筋肉が前後肢に付きました。肩から上腕、前胸の筋肉が非常に発達しています。トモも力強い。股から脛(すね)にかけての筋肉が盛り上がっています。トモのパワーを推進力に換える飛節も立派。成長途上でもこれほど筋肉マッチョになるとは…。キ甲が発達すれば、どんな姿になるのか。末恐ろしい馬です。

 ソメイヨシノは大きな花を咲かせるオオシマザクラと、花だけを先に咲かせるエドヒガンを掛け合わせた品種です。それぞれの特徴を受け継ぎ、大きな花を葉よりも先に咲かせる桜になりました。ドリームコアは大きな筋肉を付ける父キズナと、筋肉量が豊富なマイラー体形の母ノームコアを掛け合わせた。それぞれの特徴を受け継ぎ、大きな筋肉を備えたマイラー体形になりました。

 ちなみに、競走馬時代の母にも馬体診断を行っています。「ノームコアは体全体がフックラしてきました。ふくよかになった。牝馬にとってはこのゆとりは非常に大切です」。G1初制覇を飾った4歳時の19年ヴィクトリアマイルではこんな評価をしています。母は17年の2歳デビュー時(436キロ)から徐々に馬体重を増やし、ヴィクトリアマイル優勝時は470キロ。母よりひと回り大きいサイズの娘も新馬戦(1着)488キロ→サフラン賞(3着)492キロ→ベゴニア賞(1着)494キロ→クイーンC(1着)502キロと出走するたびに体重を増やしてきた。3歳春の段階で牡馬のようなボリューム。腹袋は太く映るほどです。

 立ち姿はとてもりりしい。前へ倒した大きな耳。目力も強い。ハミの代わりにモグシ(簡易頭絡)だけ着用して撮影に臨みましたが、尾や四肢に少し力を入れて前向きな気性をのぞかせています。クイーンCではルメール騎手がインのポケットに入れて落ち着かせるまで、前の馬に乗っかかりそうになるほど前進気勢を示した。そんな気性だけに栗東トレセン滞在で落ち着かせてレースに臨むのはプラスです。

 母馬ともども手がけるのは、かつて私の厩舎で調教助手を務めていた萩原調教師。身びいきかもしれませんが、今後の成長次第ではマイル界に一時代を築ける逸材です。桜花賞当日、阪神競馬場のソメイヨシノは葉桜になっているかもしれません。でも、馬のソメイヨシノはこれからが見頃です。(NHK解説者)

 ▽ノームコア 17~20年に萩原厩舎に所属し、通算17戦7勝。1600~2000メートルで重賞5勝。牝馬3冠レースには出走しなかったが、19年ヴィクトリアマイル、20年香港CのG1・2勝を挙げた。鈴木康弘厩舎にも預託していた池谷誠一オーナーの所有馬。

 ◇鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の81歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70~72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94~04年に日本調教師会会長。JRA通算795勝。重賞27勝。19年春、厩舎関係者5人目となる旭日章を受章。