2026.04.01
スポニチアネックス
【大阪杯】レーベンスティール悲願G1制覇へ! 田中博康師を直撃「もう失敗できない」
水曜企画「G1追Q探Q!」は担当記者が出走馬の陣営に聞きたかった質問をぶつけて本音に迫る。豪華メンバーが集結した「第70回大阪杯」は東京本社・後藤光志(30)が担当。悲願のG1初制覇を狙うレーベンスティールを送り出す田中博康師(40)に「やりがい」「栗東滞在」「血統」の3テーマを聞いた。
【やりがい】レーベンスティールは5つの重賞タイトルを手にしてきた。だが、そのキャリアは決して順風満帆なものではなかった。これまで7勝を挙げているが、連勝したのは24年エプソムC→オールカマーのみ。敗戦を経ながら勝ち星を積み上げてきた戦績が示すように、陣営は試行錯誤をこらして愛馬の育成に努めてきた。田中博師は「この子はたくさんのシチュエーションで、失敗を多く経験している。凄く難しい子で不安定なので成績にもムラがある。成績が出る時も、出ない時も厩舎の管理がつながっているなという面を素直に表現してくれる」とこれまでの歩みを振り返る。
田中博師はG1級レースで6勝を挙げたレモンポップを筆頭に、同2勝ミッキーファイト、重賞2勝ローシャムパークと多くの活躍馬を育ててきた。レーベンスティールも大きなやりがいを感じる一頭だ。「他に重賞を勝たせてもらっている馬もいますけど、そういう馬とはまた違う。能力はあるけど、うまく発揮できない。一つずつ課題をくれるので、こうしようと提示すると、しっかり結果を出してくれる。いろいろ教えてくれる馬ですね」。馬だけはなく、厩舎としても“トライアンドエラー”を重ねて成長を遂げてきた。
【栗東滞在】4度目のG1挑戦。師が「もう失敗できない。今、打てる最善の手を打っている」と意気込む今回は、しらさぎS(7着)以来、2度目の栗東滞在を選択した。
「輸送で失敗している。こちらが思っている以上に繊細。あれではパフォーマンスを出せないだろうというイレ込みだった」
マイルCS(12着)の反省から直前輸送を回避。「前回の栗東滞在は課題である落ち着きはあったが、逆に気が抜けている感じ。仕上がりが甘くて落ち着いている、荒々しさがないところがどうかと思っていたが結果として走らなかった。その経験も生かして調整している」と力を込める。
充実ぶりは調整過程に如実に表れている。栗東では既に追い切りを3本消化。しまい仕掛けられた1週前はCWコースでラスト1F11秒4。日曜には馬なりで6F80秒8~1F11秒5、じっくりと乗り込まれている。
「移動後も落ち着きがあって、順調に調整できている。動きの方もしっかり落ち着いた中で走れてるので、しまいの反応の良化につながっている。左右の口のゆがみもこの馬としては落ち着いているし、そこが強く出ていないので調整しやすい。ちょうど良いところかなと思います」と納得の表情を浮かべた。
【血統】母の父トウカイテイオーは92年大阪杯の勝ち馬。前年のダービー後に骨折で休養していたが、同レースで復活Vを挙げた。「自分はトウカイテイオー世代ではないですが、ファンが多いことは知っています。トウカイテイオーの血が活躍してくれたら、喜んでくれるファンもいると思うし、そういう血統も全然いないですからね。貴重だと思うのでその責任、役割を果たせればいいなと思います」と指揮官。G1タイトルだけではない。偉大な血の後継者として、価値を高める一戦でもある。
“不屈の闘志”はレーベンスティールにもしっかり受け継がれている。「ダメだったらずっとダメになり続ける子ではない。課題を修正したらパフォーマンスを出せる子。メンバーはそろった印象ですけど相手というよりはこの子のパフォーマンスを出せる状態で送り出せるかどうかが鍵。一番はそこですね。能力はありますから」。一つ一つの失敗が、今では何にも代えがたい大きな“味方”。悲願のG1初制覇へ、強敵が集結する春の仁川で真価を見せる。
◇田中 博康(たなか・ひろやす)1985年(昭60)12月5日生まれ、埼玉県出身の40歳。06年、美浦・高橋祥泰厩舎所属で騎手デビュー。JRA通算3727戦129勝。09年エリザベス女王杯(クィーンスプマンテ)などJRA重賞3勝。17年に調教師免許を取得し、翌18年3月に開業。23年フェブラリーS(レモンポップ)でJRA・G1初制覇。JRA通算1687戦239勝、重賞13勝。
≪取材後記≫レーベンスティールの成長は前走のレースぶりからもうかがえる。中山記念は好位のインでロスのない立ち回り。直線は先行馬2頭の間を割って、力強く抜け出した。24年オールカマーと似たレース運び。記者が2レースの比較を求めると、田中博師は「あの2戦は全く違いますね」と分析した。
「走りのリズムも違いますし、競馬においての走りの質が全く別物。引っかかり通しだったオールカマーは勝ちましたけど、とても手放しで喜べる勝ち方だとは思っていなかった。今回(中山記念)はやってきたことが成果として実ってきて、その状態でG1へ行けるなと思える内容。折り合い面がスムーズで、抜け出してからの伸びも全然違う。切れ味は今回の方があった」。自信を深めた前哨戦を経て、愛馬は着実に師の理想形へと近づいている。(後藤 光志)
≪大一番へ順調に来た≫レーベンスティールは火曜朝、角馬場で長めの運動を行い、体をほぐした。久保助手は「日曜に時計を出したので、乗った時は少しピリッとしていましたが、角馬場に入ると落ち着いていました。予定通りの調整で追い切りを迎えられそうです」と好感触を伝える。大一番に向けては「速いペースの方が力を出せます。メンバー的に展開が向きそうですね」と好走を期待した。