2026.02.17
スポニチアネックス
【フェブラリーS】7歳馬ウィルソンテソーロ衰え知らず デビューから27戦どこにもダメージなし
◇鈴木康弘氏「達眼」馬体診断
鈴木康弘元調教師(81)がG1有力候補の馬体を診断する「達眼」。今年は装いも新たに達眼先生が選んだ“ボディートップ5”をお届けする。「第43回フェブラリーS」(22日、東京)ではウィルソンテソーロ、ダブルハートボンド、コスタノヴァ、ロードクロンヌ、ナチュラルライズの5頭をピックアップ。なかでも達眼が捉えたのは、冬季五輪のレジェンドを思い起こさせる7歳馬ウィルソンテソーロの衰え知らずの馬体だ。
日本選手のメダルラッシュに沸くミラノ・コルティナ五輪。ソリ競技のスケルトン23位で現役生活を締めくくった41歳の高橋弘篤さんにも惜しみない拍手が送られました。14年ソチ五輪(ラージヒル個人)で葛西紀明さんが銀メダルに輝いたのも41歳。日本選手の冬季五輪最年長メダリストになりました。現在は22年北京五輪(女子カーリング)で銀メダルを獲得した石崎琴美さんの43歳が最年長記録。ともあれ、ジャンプやカーリング、ソリ競技などは選手寿命が長い。20代半ばで大半の選手が引退するフィギュアスケートとは対照的です。
競馬の世界も種目によって競走寿命は異なります。高齢まで活躍できるのは、やはりジャンプ。平地ではダートホースの競走寿命が長い。平地G1の最高齢優勝は15年かしわ記念(船橋ダート1600メートル)を制した9歳馬ワンダーアキュート。フェブラリーSでは7歳以上の高齢馬が15頭も3着以内に入っています(G1昇格の97年以降)。ダートは芝に比べて脚元に負担がかからず、レースを重ねてもさほど傷まない。その見本が7歳馬ウィルソンテソーロです。
若馬のような張りに満ちた馬体。21年夏のデビューから足かけ6年、中央、地方、海外合わせて27戦(重賞19戦)も消化しながらどこにもダメージがない。ダート馬らしい傾斜のきつい肩から胸前、首、トモに至るまで全身に備わった分厚い筋肉は全く落ちていない。腹袋のボリュームも満点。毛ヅヤは冬場とは思えないほど輝いています。
目は心の鏡。若馬のように輝いた目は心の張りを映し出しているようです。心が折れたり、擦れたりしやすい7歳馬の目ではありません。厩舎スタッフの上着の袖を口でいたずらしながら目と耳は前方に集中している。とてもほほ笑ましい立ち姿です。
馬の7歳は人間の30代半ばに相当するとされています。早くから仕上げられるサラブレッドの7歳は人間の40歳前後。葛西紀明、石崎琴美ら冬季五輪の最年長メダリストになったアラフォーのミドル世代です。冬季競馬の祭典も衰え知らずのミドルホースから目が離せません。(NHK解説者)
◇鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の81歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70~72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94~04年に日本調教師会会長。JRA通算795勝。重賞27勝。19年春、厩舎関係者5人目となる旭日章を受章。