• トップページ
  • Topics & News
  • 【有馬記念】ミュージアムマイル会心V! 兄ミルコに続いたC・デムーロが有馬初の“兄弟制覇”

2025.12.29

スポニチアネックス

【有馬記念】ミュージアムマイル会心V! 兄ミルコに続いたC・デムーロが有馬初の“兄弟制覇”

 25年中央競馬の総決算「第70回有馬記念」が28日、中山競馬場で行われた。C・デムーロ(33)が騎乗した3番人気ミュージアムマイルが差し切り、皐月賞に続くG1・2勝目を飾った。鞍上は朝日杯FSに続く2週連続G1VでJRA・G1・7勝目。なお、有馬記念の売り上げは26年ぶりに700億円を突破、大盛況で幕を閉じた。

<中山11R・有馬記念>レースを制したミュージアムマイル(中央)。鞍上のC・デムーロはガッツポーズ(撮影・郡司 修)

 馬上で吠えた。ミュージアムマイルを勝利へ導いたC・デムーロは右手でガッツポーズ、ムチを持ち替えて左でガッツポーズ。会心の騎乗を見せた。激情を全身で表現。昨年はシャフリヤールで鼻差2着と涙をのんだ。「昨年は帰国してからもムシャクシャして自分に怒っていた。それだけに今年は最高の気分です」と興奮気味に語った。

 ダノンデサイルを徹底マーク、ターゲットから2馬身の距離を保ち続けた。デサイルが進出した3角過ぎも等間隔をキープして加速。自身をマークするレガレイラを内に閉じ込めながら、トップギアに入れていく。外から脚を伸ばし、差を詰めていく。“2馬身差”が埋まったのは残り50メートル付近。後は内で粘るコスモキュランダを捉えるだけだった。鞍上は「凄くいい手応えだったのでダノンデサイルはかわせると思っていた。コスモキュランダとは距離があったので少し心配したけど、凄くいい脚を使ってくれた」と笑顔で振り返った。

 距離延長への不安を一蹴した。管理する高柳大師は感動の面持ち。「ペースが流れていたのは安心できたが、直線は心臓がドキドキ鳴っていました。本当にうれしい」。皐月賞を快勝、天皇賞・秋でも2着。同世代にクロワデュノール、マスカレードボールという超強力ライバルがいるが「最優秀3歳牡馬」などのタイトルが見えてきた。指揮官は「昨年の今頃からずっと成長してくれています。この次はまだ何も考えられないけど、まだまだ伸びしろがあると思っている」とさらなる進化に期待を込めた。

 日本で数多くのビッグレースを制したM・デムーロを兄に持つクリスチャン。「13歳離れたミルコは自分が物心ついた時にはスーパースター。いつか追い越したいという気持ちでやってきた。凄く恩義を感じていますし“第二のお父さん”という感じ」。10年ヴィクトワールピサで有馬記念を制した兄に続く勝利。当レース史上初の“兄弟制覇”については「すぐに連絡して“一緒に凄い快挙を達成できたよ”と伝えたい」と目を細めた。

 25年仏リーディングを獲得した名手はこれが海外も含めて今年のG1・5勝目。朝日杯FS(カヴァレリッツォ)のヒーローインタビューでは懸命に日本語で答えようとする姿が話題になった。兄に続くJRA移籍のプランはあるのかと問われると「今は何も言えませんが、来年はどうなっているでしょうか」と、含みを持たせたような笑顔を見せた。今年の有馬記念は21世紀初となる700億円超となる売り上げがあった。大盛況の中で多くのファンにその腕っ節を見せつけた名手は、“オツカレサマデシタ”と言い残して帰国の途についた。

 ◆ミュージアムマイル 父リオンディーズ 母ミュージアムヒル(母の父ハーツクライ)22年1月10日生まれ 牡3歳 栗東・高柳大厩舎所属 馬主・サンデーレーシング 生産者・北海道安平町のノーザンファーム 戦績10戦5勝(重賞3勝目) 総獲得賞金9億6179万9000円 馬名の意味はニューヨーク、マンハッタンの5番街にある通り。

 ◇クリスチャン・デムーロ 1992年7月8日生まれ、イタリア出身の33歳。兄ミルコはJRA所属の騎手。09年イタリアでデビュー。11年に短期免許を取得し南関東競馬で騎乗。同年にイタリアで初のリーディングに輝く。12年にJRA短期免許を初取得。13年桜花賞(アユサン)でJRA・G1初制覇。16年仏1000ギニー(ラクレソニエール)でフランスG1初V。20年ソットサス、23年エースインパクトで凱旋門賞を勝っている。