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2025.12.29

スポニチアネックス

【有馬記念】鈴木康弘氏 ミュージアムマイル…有馬はロスなく最もリラックスできた馬が勝つ

 【鈴木康弘 達眼解説】皐月賞は最も速い馬が勝つ。ダービーは最も運のいい馬が勝つ。菊花賞は最も強い馬が勝つ。昭和の時代から言い古されてきた3冠レースにまつわる格言です。では、有馬記念はどんな馬が勝つのか。ミュージアムマイルが明快な答えを出してくれました。

<中山11R・有馬記念>レースを制した  (4)ミュージアムマイル(撮影・五島 佑一郎)

 大観衆のざわめきにも動じることなく古馬のように、いや古馬以上に堂々たるレースぶり。中団馬群から少し離れた11番手をとてもリラックスしながら追走した。併走馬との間隔を空けてもかかったメイショウタバルや少し気負ったダノンデサイルとは対照的な落ち着き。レースのうまさも古馬以上です。コーナーを6つ回るトリッキーな中山2500メートル戦はこう走れ!と模範を示すように、リングバミをつけてロスなく立ち回った。どの馬よりもスムーズに伸び伸びと走れた2周目の向正面で勝負ありです。有馬記念はロスなく最もリラックスできた馬が勝つ。3歳馬が新たな格言をつくってくれました。

 それにしても今年の3歳馬は強い。マスカレードボールが天皇賞・秋を制し、驚異的なレコード決着となったジャパンCでも欧州最強馬カランダガンと大接戦を演じて2着。天皇賞・秋でマスカレードボールとの同期対決に敗れたミュージアムマイルも強さを示しています。3歳でグランプリホースを出した世代はレベルが高いと言われます。古くは76年有馬記念を3歳で優勝したトウショウボーイ、テンポイント、グリーングラスのTTG世代。グラスワンダーが3歳制覇を飾った98年はエルコンドルパサー、スペシャルウィークなど名馬がそろい「平成の黄金世代」と呼ばれました。現3歳世代はミュージアムマイル、マスカレードボールにダービー馬クロワデュノールが加わり、午(うま)年にあたる26年のG1シーンもリードしていくでしょう。「令和の黄金世代」が25年中央競馬を締めくくりました。(NHK解説者)