2025.12.25
スポニチアネックス
【有馬記念】メイショウタバル 文句なし軽快駆け 石橋師も笑顔「気持ち良く走っていたね」
朝靄(あさもや)に煙る栗東トレセンで、メイショウタバルはCWコースを上機嫌に駆け抜けていった。力強く、軽やかに。全体時計(6F85秒8)を抑えて、しまい(ラスト1F11秒3)を伸ばすのは普段通り。騎乗した上籠助手がポンと首筋を優しく愛撫(あいぶ)し、出迎えた石橋師は額をさする。師は「道中の雰囲気も走りも良かった。気持ち良く走っていたね。言うことない」と笑みを浮かべた。
昨年の有馬記念は賞金不足で除外。今年は20年クロノジェネシス以来12頭目の同一年春秋グランプリ連覇に挑む立場で年の瀬を迎えた。転機は今春のドバイターフ(5着)。追加登録料を支払っての遠征は、先代オーナー松本好雄さんが武豊にタバルの針路を相談したことがきっかけで実現した。飛行機や現地滞在、ナイターなど初めて尽くしの環境下で精神面が急成長。上籠助手は「あれがなければ今のタバルはない」と述懐する。
“メイショウさん”がこよなく愛し、生前に「一番勝ちたい」と語っていたのが有馬記念。オウドウもベルーガもマンボも、ドトウやサムソンでもその夢はかなわなかった。石橋師=写真=は「有馬記念のパドックで一緒に見られたらという思いは今でもある。今はいい状態で出走させることだけを考えて」と決意表明。歴代最多タイの有馬記念4勝を誇る鞍上は「子供の時からずっと一緒にいた石橋さんが調教師で、日高の三嶋牧場で生まれたメイショウの馬で…。有馬記念に出られるだけでうれしいけど、こんなチャンスなかなかないので勝ちたい」と静かに闘志を燃やし、ファンファーレの時を待つ。名手の手綱と、タバルに携わる全ての人々の絆が結いつけた縁の力で、天国に吉報を届ける。
≪7組目父子Vへ≫ゴールドシップ産駒は過去2頭が有馬記念に出走。いずれも牝馬で21年ウインキートスは12番人気11着、22年ウインマイティーは15番人気6着と力走した。今年、同産駒はマイネルエンペラー、メイショウタバルが出走予定。父は12年に1番人気Vを飾った。勝てばシンボリルドルフ(84&85年)&トウカイテイオー(93年)、ディープインパクト(06年)&ジェンティルドンナ(14年)、ディープインパクト&サトノダイヤモンド(16年)、ハーツクライ(05年)&リスグラシュー(19年)、キタサンブラック(17年)&イクイノックス(22年)、ハーツクライ&ドウデュース(23年)に続く、7組目の父子制覇となる。