2025.12.24
スポニチアネックス
【中山大障害】意気込む高田潤 絶好調ジューンベロシティと昨年の雪辱へ
日々トレセンや競馬場で取材を続ける記者がテーマを考え、自由に書く東西リレーコラム「書く書くしかじか」。今週は大阪本社の新谷尚太(48)が担当。今年、障害20勝で13年(障害14勝)以来、12年ぶり2度目の障害リーディングを獲得した高田潤(45)を取り上げる。今週はジューンベロシティ(牡7=武英)とのコンビでジャンプレースの大一番、中山大障害(27日)に参戦。昨年1番人気4着の雪辱へ。熱く意気込みを語った。
もっと上を目指したい――。その思いはぶれることなく、高田は競馬と向き合い、勝ち星を積み重ねた。2位・小牧に8勝差となる20勝をマーク。6日の開催を終えた時点で障害リーディングを確定させた。「年初からリーディングを狙っていたし、今年もたくさんの厩舎にバックアップしていただき、絶対に獲らなければならないと思っていました」。多くのオーナーや牧場関係者、トレーナー、厩舎スタッフらの期待に応えるタイトルとなった。
2月の小倉ジャンプSでスマイルスルーを勝利に導き、師匠・松田博資師の障害通算150勝を超え、JRA史上単独9位に浮上した。先月24日に福島の未勝利(オステリア)で達成した障害の年間20勝は84年星野忍(元騎手)以来、実に41年ぶりの快挙。数字、内容ともに濃い一年だ。「単なるリーディングではなく、圧倒的な差をつけてリーディングを獲りたかったんです」。まさに有言実行。今年、障害67戦で勝率29・9%、連対率44・8%、複勝率52・2%をマークしている。「僕自身がインパクトのある成績を残すことで、より障害に注目してもらえたら…と思って一鞍一鞍、大事に騎乗しました」とハードル界の発展も願いつつ、ひたむきに乗り続けた。
今週は暮れの大一番、中山大障害だ。ジューンベロシティとのコンビで臨む。前走東京ハイジャンプは道中2番手から最後は中山グランドジャンプ覇者エコロデュエルとの追い比べで鼻差の接戦を制し、連覇達成。6度目の重賞制覇を飾った。「強い馬を相手に、よくしのいでくれた」とねぎらいの言葉をかける。中山大障害3年連続参戦で一昨年は西谷騎乗で2番人気5着、自身が騎乗した昨年は1番人気4着。「スタート直後に落鉄していました。枠や並びが影響するコース。強いだけでは勝てないレースなので運も味方につけたい」と意気込む。
20日の1週前追いは高田を背にCWコース単走で6F82秒1~1F11秒6をマーク。いっぱいに追って気合を注入し、シャープな脚さばきでフィニッシュした。「やりたい調教をこなせて、めちゃくちゃ良かった。悔いはなく、言い訳ができない仕上がり。相手どうこうより、僕がジューンと呼吸をいかに合わせられるか」と本番を見据える。管理する武英智師(44)はJRA競馬学校15期生の同期。「先生(武英師)とは競馬学校からの長い付き合いだし、吉川潤オーナーも年齢が近くて、友達のような関係でお付き合いをさせていただいている。これまでにG3やG2は勝っているので、ここでG1を勝ちたい」と力を込めた。
高田といえば毎年、児童養護施設を訪問するなど継続して社会貢献活動に取り組み、ファンあっての競馬という意識が人一倍、強い印象がある。「今年は小倉(2月、7月)、阪神(3月)、中山(4月)でバックヤードツアーが行われ、回を重ねるごとに応募数が増えました。参加されたファンの皆さんと交流できるのは素晴らしいことだし、来年も続けたい」と引き続きファンサービスに力を入れる。今年のラストウイーク、そして来年も高田の活躍を期待したい。
◇高田 潤(たかだ・じゅん)1980年(昭55)11月3日生まれ、大阪府出身の45歳。96年にJRA競馬学校入学。同期に北村宏司、武英智師らがいる。99年3月に栗東・松田博厩舎所属でデビューし、同6日の中京1Rヤカカツロバリー(7着)で初騎乗。同6月12日、中京1Rエアウィンスレットで初勝利を飾った。平地&障害の二刀流ジョッキー。JRA通算2464戦223勝(平地1521戦56勝、障害943戦167勝)、うち重賞は平地が06年神戸新聞杯(ドリームパスポート)の1勝、障害はJ・G1初制覇となった08年中山大障害(キングジョイ)を含む26勝。1メートル65、52キロ。血液型B。
◇新谷 尚太(しんたに・しょうた)1977年(昭52)4月26日生まれ、大阪府出身の48歳。18年5月から園田競馬を担当、同年10月に中央競馬担当にコンバート。前職は専門紙「競馬ニホン」の時計班。グリーンチャンネル「中央競馬全レース中継」のパドック解説を担当。