2025.10.16

スポニチアネックス

【秋華賞】樫の女王カムニャック 2冠へ“燃ゆる秋”馬なりでグイグイ加速12秒3

 完璧な最終リハだった。牝馬3冠最終戦「第30回秋華賞」(19日、京都)の最終追い切りが15日、東西トレセンで行われた。樫の女王カムニャックはオークスと同様に栗東坂路で馬なり単走。余力十分にスイスイと駆け上がり、万全の仕上がりを印象付けた。秋初戦のローズSを快勝、2冠ロードを突き進む。同レースは16日に出走馬が確定、17日に枠順が決まる。

坂路単走で軽快に追い切るカムニャック

 栗東トレセンの馬場開門から30分後の午前7時、主役は堂々と坂路に登場した。牝馬2冠が懸かるオークス馬カムニャックは単走でリズム重視の入り。前夜から降り続いた雨の影響で馬場は重かったが、持ち前の体幹の強さでグイグイ加速していく。馬場の真ん中を力強く駆け上がり、4F(800メートル)53秒4~1F12秒3を馬なりで刻んだ。友道師は「先週、ジョッキー(川田)に乗ってもらい、体はできているので今週は息を整える程度。予定通りでした。坂路の真ん中を真っすぐに、気持ち良さそうに上がってきたので具合はいいと思う。追い切り後の息の入りも良かったです」と切り出した。

 中間は今回と同じ叩き2走目で挑んだオークスと同様に“ソフト仕上げ”を施している。川田が手綱を取った1週前追いはCWコース(6F82秒2~1F11秒2)の3頭併せで馬なり調整。オークス時と同じ調教パターンで仕上げてきた。「元々、使いつつ良くなる馬。明らかに前走ローズSの追い切りより今回の方が良くなっている」と良化を伝えた。

 前走ローズSは直線入り口で他馬と接触の不利があった。そこから立て直し、上がり3F34秒4をマーク。先行勢をまとめて差し切った。初タイトルを獲得した4月フローラSからG1を含む重賞3連勝。「春は前進気勢が旺盛な部分もあったけど、ひと夏を越して落ち着いてレースに臨めたし、凄く収穫があった。千八でもポジションを取れて、折り合いもついて、最後はしっかり。秋初戦としてはいい内容だったと思います」と振り返る。

 今年からローズSから秋華賞の間隔は中3週から4週と1週間延びた。中3週で東京への遠征が続いたオークスと比べ、今回は舞台も京都で輸送距離が大幅に短縮される。調整のしやすさもある。「オークス後は秋華賞を目指して、本当にここまで順調に来られた」と誇らしげに語る。

 前走で右回りも初勝利。今回の舞台に指揮官は「2000メートルは一番、成績を残している距離。前走のようにいいポジションを取れれば、京都の内回りは問題ない」と自信を口にした。近2年は23年リバティアイランド(牝馬3冠制覇)、昨年チェルヴィニアとオークス馬が連勝中。万全の仕上げで挑む樫の女王に死角はない。

 ≪過去8頭中4頭馬券絡み≫カムニャックを管理する友道師は、ラスト1冠に強い。秋華賞には過去8頭を起用し、4頭が馬券絡み。16年にヴィブロスが勝っている。菊花賞は過去19頭起用で19年にワールドプレミアが勝利。昨年7番人気アドマイヤテラの3着好走は記憶に新しい。秋華賞創設前のエリザベス女王杯時代を含め、トライアルのローズSと本番を連勝すれば12年ジェンティルドンナ以来、13年ぶり10頭目。くしくも12年の2着馬が厩舎の先輩ヴィルシーナで、厩舎にとっても縁のある舞台だ。