2025.08.22
スポニチアネックス
【WASJ】“テン乗り名人”本田正重 地方騎手20年ぶりVへ「顔を売るきっかけになれば」
夏の札幌の恒例イベントとなった国際騎手招待「2025ワールドオールスタージョッキーズ」(WASJ)が、今年も23、24日に行われる。地方代表として初出場するのが船橋競馬所属の本田正重(37)。札幌開催のWASJとなった15年以降では初、前身のワールドスーパージョッキーズシリーズ(WSJS)を含めると20年ぶり5人目となる地方所属騎手による優勝へ。思いを語った。

5月、金沢で行われた「地方競馬ジョッキーズチャンピオンシップ」で優勝し、WASJ初出場を決めた本田。「ワクワクしている。今まで見るだけだと思っていた舞台に自分が行けるとは。中央しか買わない人たちは僕の名前も分からないと思う。顔を売るいいきっかけになれば」と期待に胸を膨らませた。
地方通算1415勝を誇り、ヒガシウィルウィンでの17年ジャパンダートダービー制覇など重賞24勝。大舞台での強さにも定評がある。南関東騎手リーディングを8度獲得し、昨年限りで引退した名手・森泰斗(現調教師)に代わり、船橋を背負って立つ存在にもなった。「船橋のリーディングは地元の騎手が獲るべきだと思うようになった。(笹川)翼や矢野さん(共に大井所属)に獲られたくない気持ちが芽生えた。そういう点ではいいタイミングだった」。21日現在で船橋騎手リーディング首位を独走中。地元の誇りもステッキに込める。
JRAから依頼され、1週間以上悩んだというセールスポイントは「感情にあまり波がないこと」。結果を求めてガツガツしたところがなければ、物おじすることも決してない。自然体で勝利を呼び込んできた。さらにテン乗りに強く、ジャパンダートダービー制覇は落馬負傷した森からバトンを受けてのもの。23年浦和記念では、同じく落馬負傷のムーアから突然の乗り替わりでディクテオンを重賞初制覇に導いた。「結果を出している感触はある。成績を見たり、前乗ったジョッキーの話も聞くが、先入観は持たず返し馬を大事にしている」と語る感覚派だ。
中央では09年の初騎乗からこれまで福島、中山、東京、京都、中京と5場で26戦に騎乗して白星はなし。それでも今回は初騎乗となる札幌で、WASJ4戦を含め土曜8鞍、日曜7鞍の計15鞍と過去最多の騎乗依頼を受けた。「さすがに緊張すると思うが、楽しみたい」。まずは中央1勝。そして船橋から世界のホンダへ。テン乗り名人の本領発揮だ。
◇本田 正重(ほんだ・まさしげ)1988年(昭63)3月5日生まれ、東京都出身の37歳。05年10月デビュー。06年2月初勝利。13年平和賞(ナイトバロン)で重賞初制覇。地方競馬通算1万2563戦1415勝。地方重賞24勝。JRA26戦0勝(全て21日現在)。