2025.06.01
スポニチアネックス
【葵S】伏兵アブキールベイ重賞初V!3連単189万円超の波乱演出 岩田望「誕生日に勝ててうれしい」
3歳スプリントG3「第8回葵S」が5月31日、京都競馬場で行われ、ブービー15番人気の伏兵アブキールベイが重賞初制覇を飾った。2着に13番人気クラスペディア、3着に8番人気レイピアが続き、3連単は189万円超の大波乱。この日が25歳の誕生日だった岩田望来は、うれしいバースデーV。今年の重賞4勝目を飾った鞍上はトッピボーンとのコンビで参戦するダービーに弾みをつけた。

“今日の主役です”と書かれたタスキを肩にかけ、岩田望が満面の笑みでお立ち台に現れた。「(この日の初勝利が)11Rになってしまったけど誕生日に勝ててうれしい。明日は3歳のNo・1を決めるダービー。悔いの残らないレースをしたい」。25歳になったばかりの波乱の立役者は白い歯を輝かせた。
コンビ復活となったアブキールベイとは前回騎乗時(萌黄賞)にV。下馬評が低くとも「好印象を持っていたので、自信を持って乗った」の言葉通りに正攻法で臨んだ。道中は前半3F33秒5のハイペースを6番手で追走。「ペースが速い中、いいところで折り合いがついた。最後は凄くいい脚を使ってくれた」。直線でスムーズに馬場の真ん中へ持ち出されると、粘りに粘った先行勢をゴール直前で差し切りV。最下位16着までが0秒9以内の着差だった、まれに見る大接戦から3/4馬身抜け出した。
ブービー人気とは思えない堂々たる勝ちっぷり。見守った坂口師は「出来が凄く良かったのである程度、走れるとは思っていた。うまく流れに乗って、最後もよく伸びてくれた」と誇らしげ。1200メートルに狙いを定め、3カ月の間隔を空けて満を持しての重賞挑戦。「これからもこの距離にこだわっていくことになると思う」と指針を明かした。
父ファインニードルが日本一となったスプリント路線で、今度は古馬の強豪と相まみえることになりそうだ。馬体重は420キロと小柄で伸びしろを大きく残す。岩田望も「小さい牝馬なので、これからたくさん食べて大きくなってくれれば。成長すればもっと上のクラスでもやれると思う」と証言する。秋にはG1の大舞台で、この人馬が“主役”になっているかもしれない。
◆アブキールベイ 父ファインニードル 母アゴベイ(母の父ハーツクライ)22年3月19日生まれ 牝3歳 栗東・坂口厩舎所属 馬主・ゴドルフィン 生産者・北海道日高町のダーレー・ジャパン・ファーム有限会社 戦績7戦3勝(重賞初勝利) 総獲得賞金6757万5000円 馬名の由来はエジプトのアブキール湾。