2025.05.23
スポニチアネックス
オークスで重要なのは“折り合い”それとも…
【競馬人生劇場・平松さとし】今週末、東京競馬場ではオークス(G1)が行われる。3歳牝馬クラシックの第2弾は芝2400メートルが舞台。1冠目の桜花賞(G1)が1600メートルだから、一気に800メートルの延長となり、当然これが鍵となる。過去に樫の女王となった馬の陣営に話を聞いても、「折り合いが課題だった」という声がよく聞かれた。

例えば20年、後に3冠牝馬となったデアリングタクト。桜花賞では激しくイレ込んだため、「同じ調子では距離を克服できない」(杉山晴紀調教師)と考え、パドックでは他馬と距離を置き、馬場入りも最後に1頭で行うことで、馬をリラックスさせた。
同様に1頭で馬場入りさせたのが97年のメジロドーベル。ただし、こちらは他馬に先んじて真っ先に入れた。「さらにゲートイン直前までメンコ(耳覆い)を装着することで落ち着かせました」と大久保洋吉元調教師(引退)。
17年のソウルスターリングもまた、C・ルメール騎手は「大跳びだったので折り合いが心配だった」と話していたが、彼女には血統的な背景が味方した。「お母さん(スタセリタ)は僕とのコンビでディアヌ賞(G1、仏版オークス)を勝ちました。だから同じ感じで乗ったら勝てました」と同騎手は振り返った。
一方で、鞍上の心理が勝利を呼び寄せたのでは?と思わせたのが、河内洋元騎手(元調教師、引退)の言葉だった。79年にアグネスレディーで自身初のG1優勝を果たした際は、「自分がまだ24歳だったため、競馬の本当の怖さを知らず、かえって平常心で乗れたのが良かったのだと思います」と振り返っていた。また、86年のメジロラモーヌの際は、「もし負けても2400メートルの距離が敗因だと言い訳ができるので、楽な気持ちで乗れました。レースでは自分の未熟さで動くのが少し早過ぎたけど、そんな気持ちで乗っていた分、余計なプレッシャーを感じていなかったから勝てたのだと思います」と語っていた。
さて、今年はどんなドラマが待っていて、勝者はどんな言葉を語るのだろう。“折り合い”とともに注目したいところだ。 (フリーライター)