2025.05.15

スポニチアネックス

【ヴィクトリアM】ステレンボッシュがマイル仕上げ!牝馬の国枝流実戦リハ

 春のマイル女王決定戦「第20回ヴィクトリアマイル」(18日、東京)の最終追い切りが14日、東西トレセンで行われた。美浦では昨年の桜花賞馬ステレンボッシュが実戦を意識した“マイル追い”を敢行。管理する国枝栄師(70)、昨年秋華賞3着以来のコンビとなる戸崎圭太(44)も納得の動きで、桜花賞以来のG1・2勝目へ準備を整えた。同レースは15日に出走馬が確定。16日に枠順が決まる。

戸崎を背に併せで追い切るステレンボッシュ(右)(撮影・村上大輔)

 現役調教師最多の牝馬G1・12勝を誇る国枝師が、残り少ない大舞台へ攻めの姿勢を貫いた。ステレンボッシュの最終リハはWコースの併せ馬。前走までは向正面からコース入りし6F(1200メートル)から計時する追い切りだったが、今回は先週に続きスタンド前から馬場入りしてコースを1周。本番と同じ残り1600メートル地点から徐々に加速するスタイル。重賞ウイナーのパラレルヴィジョンを追走し楽々と併入に持ち込んだ。

 「1週前追いがいい内容だったから、同じメニューで追い切ることにした。より実戦に近い形でやりたかった。ジョッキー(戸崎)が手の内に入れて、リズムよく行って、態勢を整えていく形。シャープな動きで真っすぐ走れていた。バランスとかリズムとか見た目もよかった」と国枝師。あえて長い距離で、乗り役とも呼吸を合わせながら、理想的な最終追いを済ませた。

 ただ先週を踏襲するだけでなくスパイスも加えた。同じパートナーに先週は先行する形で先着。今週は位置を入れ替え目標にして追走する形を選択した。「スタートは五分に出るが、その後の脚が遅い。(マイル戦は)周りも速いから、実戦はたぶん後ろの位置からになる。そのあたりも考えての調教」と師。「府中は直線が長いので、そこを生かせれば。差しが決まる展開は歓迎」と自慢の末脚を引き出すレースに徹する構えだ。

 昨年は牝馬3冠で桜花賞V、オークス2着、秋華賞3着。海外初挑戦となった暮れの香港ヴァーズでも強豪牡馬相手に3着に食い込んだ。だが、今年初戦の大阪杯で13着大敗。キャリア初の2桁着順を喫した。「前走も走れる状態だったが、競馬がもうひとつ。正直(敗因は)分からない」。指揮官は首をひねった上で「状態は凄くいいので送り出す方としては満足のいく出来」と納得の仕上がりを強調した。来春で定年を迎える「牝馬の国枝」の勝負手が、栄冠を手繰り寄せるか。

 《戸崎VMはルメールと並び最多3勝》戸崎はルメールと並んでヴィクトリアマイル最多3勝を誇る。15年には初騎乗だった5番人気ストレイトガールで初優勝。3連単2070万5810円は今も破られぬG1史上最高配当。翌16年にはレース史上2頭目の連覇を飾った。23年にはまたも初コンビのソングラインでV。3度の優勝は全て前走9着以下からの巻き返し。大阪杯13着から反撃を期すステレンボッシュには心強い存在と言える。