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2025.05.05

スポニチアネックス

【天皇賞・春】ヘデントールG1初制覇 レーンが短期免許でいきなりV「歓声が力になった」

 伝統の長距離G1「第171回天皇賞・春」が4日、京都競馬場で行われ、1番人気ヘデントールが中団から末脚を伸ばし、G1初制覇を飾った。短期免許で初コンビを組んだダミアン・レーン(31)は同じくキャロットファームが所有するタスティエーラに騎乗したクイーンエリザベス2世C(香港)に続く2週連続G1制覇だ。シュタルケ騎乗の6番人気ビザンチンドリームが2着に入り、レース史上初の外国人騎手ワンツー。今年のJRA平地G1は6戦を終え、キング、モレイラを合わせて外国人騎手が5勝となった。

<京都11R・天皇賞春>レースを制したヘデントール(左) (撮影・亀井 直樹) 

 大歓声が響いた最後の直線、外に進路を取ったヘデントールが力強く伸びてくる。先頭に立ったところで外からビザンチンドリームに迫られながらも譲らない。右ステッキで鼓舞され、もうひと伸び。頭差で猛追を振り切り、G1初制覇のゴールに飛び込んだ。今季のJRA短期免許を取得したばかりのレーンはいきなり大役を果たして笑顔。「いいファイトを見せてくれて、歓声が力になりました。凄くうれしい」と初コンビの相棒を絶賛した。

 昨年の菊花賞2着に続く2度目の京都遠征で凄みを増した走り。スタートがひと息で二の脚がつかなかった前回より行き脚がつき、スッと中団につけた。「内のいいところにはまった。リラックスして、いいリズムだった」と折り合い面もクリア。2周目にショウナンラプンタが位置を上げたところで、レーンが外に導いてスパートを開始。持ち味の長くいい脚を使った。

 前週に香港のクイーンエリザベス2世Cでタスティエーラを勝利に導いた豪の名手は美浦Wコースの最終追いで初コンタクト。「凄く乗りやすく、スタミナもある。トップスピードに入るまでの切り替えも速い」と特長を捉え、「まだ4歳だし、体も精神状態も若いので成長していくと思う」と伸びしろを強調した。

 木村師は1番人気に応えて「ホッとしました」と胸をなで下ろした。「装鞍所から気持ちが入ってギリギリのところ。自分が提案した調教が果たして今日の彼に適していたかは分かりません」と試行錯誤の日々を振り返り「今回も(前走の)ダイヤモンドSの時も、毛ヅヤや張りについては菊花賞の時より劣っているのかなと。当時の健康状態に近づくようにやってきました」と調整過程を明かした。

 母コルコバードもかつて木村厩舎所属で5勝。18年エリザベス女王杯(8着)にも出走した。「あの馬を含めて過去に管理させていただいた馬で、恥ずかしながら星の数ほど失敗しました。その失敗を取り返す気持ちでやっています」と日々、一頭一頭と向き合っている。ヘデントールについても「右手前の変換や上って下る京都の坂をどう克服するか」と課題を挙げた上で「引き出しの中から、どう対処するかを常に考えています」と策を練って臨んだ。国内外でG1・6勝を挙げたイクイノックスを代表とした過去の管理馬全てが財産となっている。

 今後は未定だが登録済みの凱旋門賞(10月5日、パリロンシャン)を含め、さまざまな選択肢がある。「今日もしっかり走ってくれたので。無事に行ってくれれば」とさらなる成長を期待した。経験を積みながら力をつけ、大輪の花を咲かせた4歳馬が中長距離路線を引っ張っていく。

 ◆ヘデントール 父ルーラーシップ 母コルコバード(母の父ステイゴールド)21年4月6日生まれ 牡4歳 美浦・木村厩舎所属 馬主・キャロットファーム 生産者・北海道安平町のノーザンファーム 戦績9戦6勝(重賞2勝目)総獲得賞金4億8610万1000円 馬名の由来は救世主(ポルトガル語)、コルコバードの丘のキリスト像より。