2026.06.26

欧州短距離路線を考える

現地20日にイギリスのロイヤルアスコット開催で行われたクイーンエリザベスII世ジュビリーS(GⅠ)で、日本のサトノレーヴ(牡7歳、美浦・堀宣行厩舎)が2着と好走した。もう1頭の日本馬ルガル(牡6歳、栗東・杉山晴紀厩舎)は8着に終わったものの、こちらも見せ場充分の競馬を披露してみせた。
 R・ムーア騎手を背にしたサトノレーヴは中団を追走。追われてからしぶとく伸び、最後は大接戦の末にゴールへ飛び込んだ。地元の伏兵アルメラクとの写真判定の結果、わずかに及ばず2着。サトノレーヴはこれで同レース2年連続2着となった。
 この結果を受け、昨今の日本馬のレベルアップを評価する声も聞かれた。曰く、「芝でもダートでも、どんな距離でも、世界中のレースで日本馬が勝ち負けに加わる」と。
 確かに、その言葉に誤りはない。日本馬は着実にレベルアップしてきたと言っていいだろう。
 ただ、実は短距離戦に限れば、日本馬はとうの昔にヨーロッパで通用している。アグネスワールドがフランスのアベイユ・ド・ロンシャン賞(GⅠ、芝1000メートル)とイギリスのジュライC(GⅠ、芝1200メートル)を制したのは、今から四半世紀以上前の1999年、2000年のことだ。さらにその前年、1998年には、芝1300メートルで行われるモーリス・ド・ギース賞(GⅠ)をシーキングザパールが勝っている。
 そもそもヨーロッパの短距離路線に挑戦する日本馬は多くないため、好走例は決して多くはない。それでも、例えばエントシャイデン(栗東・矢作芳人厩舎)は、フランスのフォレ賞(GⅠ)で2021年、2022年と2年連続3着に善戦した。同馬は日本国内ではGⅠはもちろん、重賞勝ちすらなかったが、それでもヨーロッパのGⅠで堂々と渡り合ったのである。
 これは日本馬に限った話ではない。古くはシュワジール、ミスアンドレッティ、ブラックキャビア、近年ではネイチャーストリップやアスフォーラといったオーストラリア勢はもちろん、香港のリトルブリッジやアメリカのレディオーレリアまで、ロイヤルアスコットの短距離GⅠを制している。
 一方で、凱旋門賞(GⅠ)に代表されるように、ヨーロッパ競馬は2400メートル戦では圧倒的な強さを誇る。アメリカのブリーダーズCターフ(GⅠ)、香港ヴァーズ(GⅠ)、ドバイシーマクラシック(GⅠ)など、このカテゴリーではヨーロッパ勢が数多くの勝ち馬を送り出してきた。考えてみれば、2400メートルを根幹距離として数多くのGⅠがヨーロッパ各国で行われているのだから、これは当然ともいえる。裏を返せば、短距離戦線で他地域の馬たちが活躍するのもまた自然なことなのだ。
 サトノレーヴは、カーインライジングさえいなければ、という競馬をしているほどの実力馬であり、相手関係に恵まれての2年連続2着というわけではない。だが今回の結果は、そうしたヨーロッパ短距離戦線の構図を改めて浮き彫りにしたともいえるだろう。
 例えば2016、17年とスプリンターズS(GⅠ)を連覇したレッドファルクスも、きっとヨーロッパで通用したことだろう。凱旋門賞ばかりに目を向けるのではなく、今後は短距離路線でもヨーロッパに挑む日本馬がさらに増えていくことを期待したい。
(撮影・文=平松さとし)
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