2025.11.13
スポニチアネックス
田口 師弟タッグでG1制覇を!
日々トレセンや競馬場など現場で取材を続ける記者がテーマを考え、自由に書く東西リレーコラム「書く書くしかじか」。今週は栗東取材班の坂田高浩(41)が担当する。3日のJBC2歳優駿をタマモフリージアで制した田口貫太(21)を取材。所属する大橋厩舎の管理馬での重賞Vを果たした心境、さらなる活躍への意気込みを聞いた。
師匠の管理馬でうれしい重賞初勝利だった。デビュー3年目の田口が3日のJBC2歳優駿をタマモフリージアで首差V。「ホッとしました。重賞でもチャンスがある馬に乗せていただいていたのに、なかなか結果を出せていなかったので良かったです」と頬を緩ませた。当レースまでの師弟タッグで臨んだ重賞は地方交流も含めて【0・0・1・10】。ニホンピロキーフでの24年マイラーズC3着が最高だった。大橋師は「悔しい思いをしてきたと思う。まだまだミスをするけど、だいぶ落ち着いて乗れるようになってきた」と、愛弟子とのタイトルを喜んだ。
田口は昨年6月の関東オークス(アンデスビエント)に続く重賞2勝目。今年8月にはJRA通算100勝を達成した。自身のキャリアについて「周りの方のサポートでいろいろな経験ができています」と感謝。デビューした23年にはJRAで35勝を挙げ、JRA賞最多勝利新人騎手を受賞した。翌24年は前年を上回るペースで勝ち星を挙げ、7月末からフランスで約2カ月間の武者修行。「言葉が通じなくて難しい部分もありましたが、(調教やレースで)何を求められているのかを考えて、うまくコミュニケーションを取れたと思います」と貪欲に吸収してきた。
帰国後はやや勝ち星のペースが落ちたが「そういう時期もあると思って自分の中でトライしてきました。(1着110回に比べて)2着(142回)の数が多いですし、足りない部分を突き詰めていきたいです」と前を向く。「最近はリズム良く乗れていると思います。引き出しを増やしていければ」と3年目でレベルアップの手応えもある。
トレードマークだった丸刈りを卒業し、髪が伸びて大人びてきた。「先生と“100勝までは”って約束していたんです。どちらでも良かったんですけど、せっかくなので伸ばしてみようかと」と照れ笑い。大橋師は「デビューして最初はその方が印象がいいかなと。愛嬌(あいきょう)があるしな。明るくてみんなに好かれる性格。(100勝は)通過点だと思って関係者から信頼されるジョッキーになってほしい」とエールを送った。いつか師弟タッグでG1獲りへ。田口は「それを目標に頑張りたいです」。恩返しの気持ちも込めて、精進を続けていく。
◇田口 貫太(たぐち・かんた)2003年(平15)12月10日生まれ、岐阜県出身の21歳。栗東・大橋勇樹厩舎所属で23年にデビュー。競馬学校39期生で同期に石田拓郎、河原田菜々、小林美駒、佐藤翔馬がいる。父の輝彦さんは笠松競馬の元騎手で現調教師、母の広美さんも笠松競馬の元騎手。JRA通算2052戦110勝。1メートル56、44キロ。血液型A。
◇坂田 高浩(さかた・たかひろ)1984年(昭59)11月5日生まれ、三重県出身の41歳。07年入社で09年4月~16年3月まで中央競馬担当。その後6年半、写真映像部で経験を積み、22年10月から再び競馬担当に。