長い間、高額賞金レースの代名詞となってきた、賞金総額100万ドルの「ミリオンレース」。その世界最初と言われたG1・アーリントンミリオンが、賞金が減額されたうえに伝統あるレース名も変更されるというショッキングなニュースが伝えられたのは、つい先日のことです。

 

コロナ禍の深刻な影響から、“巣ごもり需要”に盛り上がる日本は別として、世界各地で賞金減額など悩ましい話題が相次ぐ競馬界に、とっておきの“元気の出る”ホットニュースが飛び込んできました。

 

“世界競馬の首都”を自他ともに認めるアメリカ・ケンタッキー州ですが、その西南部の人口1万6000人ほどシンプソン郡にあるケンタッキーダウンズという競馬場があります。ケンタッキーダービーで世界一有名な競馬場のひとつであるチャーチルダウンズや、セリ市のトップブランド・キーンランドなど名門競馬場がひしめくケンタッキー州にあっても非常にマイナーな存在です。しかしこの競馬場、ヨーロピアンスタイルを謳い文句に芝コースのみを設置し、1周1.3125マイル≒2111.8m、直線5分の1マイル≒402mと小回り主体のアメリカにしては大箱のコース設計になっています。年に9月の6日間だけという贅沢なスケジュールで、芝が傷む心配もなくレースができる強みでしょう。

 

贅沢な開催ができるのも、競馬場以外にスロットマシンやポーカーゲームなどのゲーミング設備、イベント会場、レストラン、バーなどから成るエンターテインメント空間を併設することで、多様な収益構造を可能にする“ラシーノ”仕様になっているからです。ラシーノ=Racinoとは、競馬やドッグレースなどを指すレーシングとカジノの合成語で、アメリカでは身近で気軽なレジャースポットとして庶民の人気を集めているようです。この“お金持ち”ケンタッキーダウンズ競馬場が、今年の開催はグレードレース6つを含む16のステークスが6日間に散りばめられますが、G2・ターフS (2400m)、G3・ミントミリオンマイル(1600m)、G3・ターフスプリント(1200m)の3レースを総賞金100万ドル≒1億1000万円の“ミリオンレース”にグレードアップすると発表しました。

 

開催時期的には、年間の総決算であるブリーダーズカップ(BC)シリーズへの前哨戦として最適とも思われます。全体にブリーダーズカップの編成を踏襲して、牝馬のレディース番組、若駒のジュベナイル番組なども網羅しています。BCターフ、BCマイル、BCターフスプリントなど芝の頂点を目指す一流馬、素質馬たちが集結してくれる場になることを期待したいものです。