あの日から10年が経ちました。亡くなられた人々、ご遺族の皆さまに深い哀悼の意をお伝えしたいと思います。被災者の皆さまには心からのお見舞いを申し上げます。

 

振り返れば、当時から復興まで気の遠くなるような時間が掛かるだろうと言われてきました。5年、いや10年は必要だろうと国民の多くが肚の底から覚悟を決めたはずでした。しかし10年経っても、まだやり残したことだらけ、そんな気持ちが重く覆い被さっています。狭い競馬の世界に限っても、今年は先月東北地方で発生した大規模な余震の影響でスタンドなどに損傷を受け、4月10日開幕予定だった第1回福島競馬が10年前と同様に新潟に移設されます。7月に予定されている第2回も中山など他場に移設される可能性が残されているようです。

 

大震災の直後に、打ちひしがれた国民を驚喜させたドバイワールドカップでの歴史的勝利をもたらしてくれたヴィクトワールピサと角居勝彦調教師は既に第一線を退かれました。角居先生はご家庭の事情で北陸にお帰りになり、ヴィクトワールはトルコからの熱心なオファーに応えて海を渡り、あれから10年目の今年、それぞれ新しい人生へと旅立ちました。思い起こすだけでも、多すぎる出来事が山積する長い10年でした。にもかかわらず同じようにやり残したことも山積する現実が目の前に広がっています。

 

10年前、競馬に携わるホースマンたちは「競馬をやっている場合なのか?」と繰り返し繰り返し自問自答しながら、ひたすら真っ正面から競馬と向き合ってきました。後にコロナ禍に見舞われた時も、その姿勢は変わらず同じでした。「競馬をやらせてもらえるだけでも有り難い」と前向きに真摯に競馬に取り組んできたものです。世界に誇って良いホースマンシップだと思います。このスピリッツがある限り、日本の競馬は国民から支持され続けると確信できます。この道を信じて、次の10年、その先の10年、愚直なまでにひたすら真っ直ぐに歩んでいきたいものです。