阪神のG2・チューリップ賞、中山のG2・弥生賞ディープインパクト記念と、本番の桜花賞&皐月賞と同コース同距離のトライアルが行われた先週末、もうクラシックモード全開の雰囲気が競馬場からシッカリ伝わってきました。この両レースで際立った印象を刻みつけたのが、牝馬のエリザベスタワーと牡馬のシュネルマイスター、いずれも非凡なスピードと飛び抜けた瞬発力で定評のあるインヴィンシブルスピリット系のキングマン産駒でした。

 

キングマンは先ごろ亡くなった伝説の名ホースマンとして世界に知られるカリド・アブドゥッラー殿下がオーナーブリーダーとして手塩にかけ、欧州を代表する名トレーナーでありながら1着賞金10億円あまりのサウジCで歴史的勝利を挙げたばかりのジョン・ゴスデン調教師の薫陶を受けて、イギリス、アイルランド、フランスで8戦7勝の成績を残した名馬です。

 

彼はデビュー3連勝の後、直線競馬ながらトリッキーな駆け引きが波乱を呼ぶことも多い英2000ギニーで後のダービー馬オーストラリアを抑えながら、11番人気の伏兵ナイトオブサンダーの抜け出しを許し、半馬身差2着に敗れたのが生涯唯一の黒星でした。その後はG1戦線で無敵の4連勝を成し遂げます。カラの愛2000ギニー、アスコットのセントジェームスパレスS、グッドウッドのサセックスS、ドーヴィルのジャックルマロワ賞とすべて異なる競馬場が舞台だったのは圧巻でした。3歳上の怪物フランケルは、同じジュドモントファームの生産馬で同馬主でもあり、何かと影に隠れがちなのは気の毒ですが、マイル戦までの瞬発力にかけては偉大すぎる先輩にヒケを取らない、凄まじいほどの切れ味と破壊力の持ち主でした。

 

種牡馬としても順調にキャリアを重ね、今年は倍増した昨年に続いて15万ポンド≒2250万円と欧州屈指の種付料を誇っています。プライベート供用で非公表のガリレオを“雲の上の上”の別格とすれば、ゴドルフィンの至宝ドバウィの25万ポンド≒3750万円、アブドゥッラー殿下門下の先輩フランケルの17万5000ポンド≒2625万円に続くハイランクです。エリザベスタワー、シュネルマイスターが3世代目というキャリアの浅さを思えば、この先どこまでフィーを高騰させることやら?それにしても恐るべきことは、フランケルもキングマンも常識破りの日本適性を示していることです。競馬の歴史は、こうして塗り替えられていくものなのでしょうが…。