今世紀最初の日本ダービー馬ジャングルポケットが亡くなったそうです。まさに群雄割拠!という強い世代のダービー馬。競走馬としても優秀でしたが、種牡馬入りしてからも素晴らしい実績を残しています。ジャンポケ自身も稀代のサウスポーらしく、今も残る天皇賞(秋)のレースレコードを叩き出したトーセンジョーダンを筆頭に、記録にも記憶にも残るG1ホースを多数送り出してくれました。心よりご冥福をお祈りいたします。

 

また、同世代の皐月賞馬アグネスタキオン、菊花賞馬マンハッタンカフェは栄誉あるリーディングサイアーに輝くなど、サンデーサイレンス不在の時代からディープインパクト出現までの空白期に、偉大な二つの時代を繋ぐ“架け橋”の役割を結果的に果たしたことになります。

 

先日亡くなった同期生のクロフネは、この2頭を優に超える実績を誇っています。JRAの通算勝利数で見れば、先週の競馬を終えた時点で歴代7位のクロフネが1437勝と傑出世代を代表する勝ち頭となっており、マンハッタンカフェ1152勝、アグネスタキオン967勝、ジャングルポケット695勝と続いています。どれも輝かしい金字塔で、立派なものです。異色だったのは同馬主、同厩舎だったアグネスタキオンとの競合を避けるような形でブラジルへ渡ったアグネスゴールドでしょうか?彼は南米各国でG1馬を次々と輩出し、今や大種牡馬の風格を漂わせています。これも世代としての飛び抜けた優越性を証明するものでしょう。気がつけば、この世代の駿馬たちはほとんどが鬼籍に入ってしまいました。残念でなりません。

 

ジャングルポケットの仔といえば、個人的には初年度産駒のジャガーメイルが記憶に残っています。6歳時の天皇賞(春)でG1制覇を成し遂げるまで目立たない地味な存在でしかなかったのですが、実は海外ホースマンにとっては一番有名な日本調教馬だったかもしれません。後の名馬モーリスと同じ堀宣行厩舎で、ノーザンファームの吉田和美さんの勝負服で走った彼は早くから海外遠征に熱心に取り組み、G1・香港ヴァーズは4年連続出走して③④④②着と健闘しています。

 

そうした貴重な機会を活用して、マイケル・キネーン、クリストフ・スミヨン、クレイグ・ウィリアムズ、ダグラス・ホワイト、ライアン・ムーア、ウィリアム・ビュイックなど世界各国の当代超一流ジョッキーを鞍上に招聘して人脈を世界に拡げることに貢献しています。アガ・カーン殿下の専属騎手時代のクリストフ・ルメールも、その一人だったのは言うまでもありません。そうした意味合いも含めて、ノーザンファーム王国の礎を築いた功労馬の一頭と言えるかもしれません。