年が明けると、ロンジン社がスポンサーを務め、IFFA(国際競馬統轄機関連盟)が集計する、前年1年間のサラブレッドランキングと世界のG1レース・ベスト100が発表されます。前者は各レースにおけるレーティング上位馬、後者は上位4着までの入着馬の平均レーティングでランキングされます。馬とレースの通信簿みたいものでしょうね。例年上位に来るべき馬やレースが安定的にランクインする傾向が強いのですが、昨年は猛威をふるった新型コロナウイルスの影響か、考えられないほど大きな“異変”が起きました。

 

世界の最高峰レースと自他ともに認め、ベスト100レース首位の座をほぼ定位置化してきた凱旋門賞が、大きく後退して11位タイとベストテンから滑り落ちたのです。130ポンドでレーティング世界一の座を張ったゴドルフィンのガイヤースが不透明な開催日程もあってローテーションを前倒しする形で使われ、結果的に早めにシーズンを切り上げたことや、有力視されていたクールモア軍団が厩舎の飼料に禁止薬物が混入するという不幸なアクシデントに見舞われ、直前に大挙出走回避したことが響いたようです。結果的に昨年より4ポンドもレーティングを下落させました。

 

こうした中でひときわ存在感を見せつけたのは、他ならぬ日本競馬でした。牝馬世界一に君臨したアーモンドアイなど史上最多36頭をサラブレッドランキングに送り込み、ベスト100レースにもそのアーモンドアイ、牡牝の三冠馬コントレイル、デアリングタクトが真っ向から激突する世界にもない奇跡を実現したジャパンCの3位を筆頭に、ベストテン内に天皇賞秋、安田記念、有馬記念と何と4レースもランクインさせています。凱旋門賞の凋落、日本競馬の興隆という単純な話ではありませんが、日本の競馬の頑張りが目を引いた1年間だったとは言えそうです。何よりJRAをはじめ競馬統轄機関が年間を通してレーシングカレンダーに忠実に競馬を施行し切った運営能力の高さにはリスペクトしかありません。「こんな状況の中で競馬をさせてもらえるだけでも有難い」と謙虚に述べた藤澤和雄調教師の言葉に象徴されるように、ファンの心に寄り添うように粛々と馬たちを競馬場に送り出し続けた牧場や厩舎、馬主さんなどホースマンの寡黙な貢献も忘れられません。

 

こうした無償の努力に報いるためにも、王者を競うことから“チャンピオンズ・ディスタンス”の美称で呼ばれるカテゴリーである2400mのジャパンCの、より一層の充実を図ってほしいと思います。まずは、毎年同じ季節時期に、同じ競馬場で、距離や斤量なども同じ条件で淡々とレースを積み重ねていくのが本質だろうと思います。その上で、優秀な外国馬たちに参戦を促す招待内容やおもてなしの創意工夫、現在1着3億円の賞金を凱旋門賞など世界トップクラスと同等に増額することも検討されるべきでしょう。国内における統一性や整合性よりも、強い外国馬を主役に据えて欲しいもの。そういう意味では、今が千載一遇の好機なのかもしれません。