偉大なホースマンとして世界に名を轟かせたハーリド・アブドゥッラー殿下が亡くなったそうです。サウジアラビア王室に生まれながらヨーロッパを舞台にビジネスマンとして成功し、とくにサラブレッドビジネスにおいては世界有数のオーナーブリーダーとして名を馳せました。その輝く宝石のような所有馬たちから、世界で一番有名な凱旋門賞馬ダンシングブレーヴ、圧倒的なパフォーマンスで連覇したエネイブルなど延べ5頭で六度の栄光を戴冠し、そのエネイブルと怪物フランケルが二度ずつ、キングマンを加えるとこの10年間で五度もヨーロッパ年度代表馬を輩出する偉業を成し遂げています。心からご冥福をお祈りします。

 

サラブレッドの歴史を書き換えたデインヒルを世に出し、ガリレオに破られるまで圧倒的な世界一のG1勝馬数とG1勝利数を誇っていました。そのデインヒルと牝馬ハシリとの配合から4頭と他にもう1頭のG1馬を輩出。これは1頭の繁殖牝馬が生んだG1勝ち馬数としては、エイトカラットと並ぶ世界一の記録です。その生産拠点としてイギリスとアイルランド、そしてアメリカにそれぞれジュドモントファームを構え、欧米を股にかけてファンを熱くさせる名馬の数々を生み出し続けました。アメリカでは、化け物のように異次元の強さを誇ったアロゲート、その名の通りダート界のチャンピオンを張った良血エンパイアメーカーは忘れられません。

 

エンパイアメーカーは日本にやって来て期待ほどの実績は残せなかったのですが、ダンシングブレーヴは病魔と戦いながら、それでも一流の子孫を後世に伝えてくれました。フランケルが世界初のG1制覇を日本の地で成し遂げたように、後継キングマンなども日本適性に秀でたスピードと瞬発力を伝えています。今後はジュドモントファームを窓口に世界への扉が開かれるのかもしれません。

 

今年からフランケルの全弟ノーブルミッション、昨年の愛2000ギニー馬シスキンが今春から日本で供用されます。前者は全兄弟と言ってもフランケルとは真逆なほどタイプも異なるだけに、どんなタイプに出るか期待と不安が相半ばする気もしますが、成長力のある奥手の印象もあり、思わぬ大物を輩出しないでしょうか?後者は距離に限界がありそうですが、マイルくらいまでは鋭い決め手を発揮しそうです。ジュドモントの奥の深さを証明してくれるでしょう。