先週末はヨーロッパ各地で本番まで1ヶ月を切った凱旋門賞の

興味深い前哨戦が目白押し!強豪が集結し、ハイレベルG1と

して知られるアイルランドのチャンピオンS、イギリス三冠最

終戦セントレジャー、昨年の覇者ヴァルトガイストや日本人馬

主・吉田照哉さんのデインドリームなど、凱旋門賞と縁深いド

イツのバーデン大賞、そして地元フランスは変則日程ながらパ

リ大賞、ヴェルメイユ賞、フォア賞とまるで夢のような豪華版

でした。おぼろげながら、桧舞台の輪郭が浮かび上がって来た

ようです。

 

アイルランドのレパーズタウンでおこなわれたチャンピオンS

には、G1の3連勝を含めて今季負け知らずの千両役者・ガイヤ

ースが登場!このロンジン社レーティング130ポンドと世界ナン

バーワン評価の最強馬に対し、6頭立てながら3頭出しのチー

ム・オブライエンが、どんな戦略を駆使して挑むのかが、大き

な見どころになりそうです。強いときは滅法強いが、馬群で揉

まれたときのストレス耐性に課題を抱えると言われるガイヤー

スを、どう止めに来るのか?

 

この日のガイヤースは、いつも通りハナを主張し逃げの手に。

マイペースなら、背に翼が生えたように飛ぶことができる馬!

そうはさせまいとチーム・オブライエンは、前に馬を置く形で

集中力を高めれば女王エネイブルにも食い下がって見せるほど

非凡な先行力のあるマジカルが並びかけ、直線ではジャパンが

奇襲攻撃、内に潜り込みサンドイッチ状に馬体を併せます。フ

ィジカルとメンタル両面から厳しい負荷を掛ける作戦です。

 

内にジャパン、外からマジカル、身動きのできない状況に追い

込まれ、これまでならガタガタと大崩れして不思議ない流れ。

急激に一気の脚を使ったジャパンは叩き合いから脱落しますが

この1年で目覚ましく成長したガイヤースは簡単に崩れません。

外をグイグイ伸びるマジカルに一歩も譲らず食い下がります。

直線をフルに使った手に汗を握る素晴らしい追い比べでした。

 追うものの強み!集中力を切らさずマークし切ったマジカルが

4分の3馬身だけ先着しましたが、わずかに遅れたガイヤース

も王者らしい風格が伝わる、堂々として立派な戦いぶりでした。

この経験は本番前に課題克服のメドが立ったと言えそうです。

 

あとは老婆心ながら、ゴドルフィンの一流馬は春先のドバイを

目標に仕上げられ、シーズン末にはスタミナ切れするケースも

目立ちます。16年に圧倒的人気で5着に敗れたゴドルフィン系

ポストポンドは、チーム・オブライエンによる戦略的包囲網も

あったのでしょうが、ゴドルフィン流ローテーションが背景に

横たわっていたのは手痛い歴史的敗北の遠因のひとつでしょう。

 

今年はコロナ禍の影響でドバイミーティングが開催中止になっ

たことにより、ガイヤースは少しだけ余力を残して凱旋門賞に

臨むことができそうです。個人的にはレパーズタウンが余分だ

ったという気がしないでもありませんが、前述のように得難い

経験ができたのも事実です。

 

答えは、10月4日パリロンシャンの凱旋門賞にしかありませ

ん。馬たちと人々の繋がりが紡ぎ出す競馬ドラマに秘められた

謎を解くカギは、どうやら現実のレースの中にしかないようで

す。