セレクト落札「アイリッシュシー20」の父リアルスティールは
名門・社台スタリオンステーションで昨年から繋養され始めた
新進種牡馬ですが、昨年が種付け料200万円だったのに対して
まだ実績もなく、産駒デビューどころか当歳になったばかりの
今年は250万円へ値上げされました。超良血への期待とともに
産駒のデキがよほど素晴らしかったのでしょうか。
種牡馬に登用されるほどの馬なら、実績・血統双方とも優れた
優良馬が揃い踏みしますが、血統に秘めるポテンシャル比較で
アタマ一つ抜けた存在は、リアルスティールかもしれません。

競走馬時代は、少し運のない馬でクラシックは春に急成長した
二冠馬ドゥラメンテや、秋の上がり馬キタサンブラックの前に
惜敗続き、古馬になってもここ一番でモーリスなどに阻まれて
G1はドバイターフの1勝に終わりました。しかし見栄えのする
均整の取れた馬体に秘めるポテンシャルの高さは疑えません。
その魅力の最大ポイントは名牝系を凝集した血統でしょうか?

リアルスティールは、父ディープインパクトの曽祖母に、競馬
発祥の地の宗主であり、ホースマンの憧れロイヤルアスコット
オーナーの名誉を担うエリザベス女王の至宝ハイクレアの血を
受け継ぎ、その母ラヴズオンリーミーは繁殖としてラングレー、
プロディガルサンと言った素質馬を輩出、リアルスティールの
下にオークス無敗制覇のラヴズオンリーユーを出しました。
今や日本繁殖界一級の母親としての貫禄を漂わせる名牝です。
さらに凄いのは、祖母のモネヴァシアはキングマンボの全妹!
その母には世界に影響を及ぼしたミエスクが鎮座しています。

アイリッシュシーは、その父ガリレオを通じ凱旋門賞を筆頭に
ヨーロッパのビッグレースで、その馬名を見ないレースはない
超名牝アーバンシーの血を受け継いでいます。アーバンシーは
自身が凱旋門賞を制覇し、息子のガリレオやシーザスターズが
父として、母父として欧州中の著名G1を勝ちまくっています。
ガリレオ輩出のサドラーズウェルズの母フェアリーブリッジは
ミエスクと並ぶスペシャルの代表産駒です。この歴史的繁殖は
とりわけノーザンダンサー系との配合で、卓抜した底力を伝え
世界中から高い評価を得ています。

アイリッシュシーの母系もトレンディな活力に満ちています。
祖母ファイアーリリーはG1戦線の活躍馬で、その下も良く走り
弟ザユナイテッドステーツ、妹ハイドランジア、同ハーモサは
ガリレオとの配合で生まれ、巨匠エイダン・オブライエン師の
薫陶を受けて、すべてG1ホースに出世しています。
5代母ミルプリンセスは、キングカメハメハの母父に名を残す
名種牡馬ラストタイクーンを出し、そのファミリーには怪我で
惜しくも大成できませんでしたが、角居厩舎でガリレオ最良の
日本調教馬と期待されたキャプテンキッドの名前も見えます。
彼の分まで走ってほしい思いが胸の奥で静かに燃えています。