今年のセレクトセールは、市場最高だった昨年より売上高では
減少しましたが、これはコロナパンデミックの影響というより
今年は当歳セリが大黒柱のディープとキンカメ不在で開催され
その分のマイナスが反映された単純な結果だったのでしょう。
サラブレッド市場の健全な成長性を証明したように思えます。

歴史は繰り返すと言いますが、似た光景をいつかご覧になった
ご記憶をお持ちのホースマンの方々も少なくないでしょう。
それはサンデーサイレンスが亡くなる前と後ではの市場環境が
一変した当時です。サンデー健在の時代のセリ市場は日本中の
ホースマン達がサンデー産駒を落札することに熱中しました。
その向こうに、クラシックの栄光があり、G1オーナーの誇りが
約束されている順風満帆の航海が信じられていたからです。
サンデーサイレンスという月明かりが煌々と行手を照らし出し
満天のキラ星のような優良産駒たちが輝きを放っていました。

サンデー没後もアグネスタキオンやマンハッタカフェがSS後継
として、リーディングサイアーに君臨!とりわけマンカフェは
レッドディザイアの父として東サラに初重賞にして初G1という
輝かしい勲章をもたらしてくれました。
しかし両後継馬は優秀な繁殖牝馬がSS系に偏っている状況から
必ずしも種牡馬としては配合相手など環境に恵まれていたとは、
言えず、その間隙を縫って台頭して来たのが、非サンデー系の
真打キングカメハメハでした。サンデーの血を一滴も持たない
キンカメはSS系牝馬が付け放題、この日本が誇る黄金配合から
今年の新種牡馬リーディングのトップを走るドゥラメンテ始め
リオンディーズ、ラブリーデイなどを続々と輩出しました。
しかし、これでサンデー不在の「闇夜」が明けたわけではなく
サンデー時代のような誰もが安心して競り合える市場の復活は
ディープインパクトの登場を待たねばなりませんでした。

サンデーが亡くなった2002年、生まれ変わりのように誕生した
ディープはご存じのように父が成し遂げた米二冠制覇を超える
三冠を無敗のまま制し、競走馬として並ぶもののいない存在に
君臨しています。強く、華のある最高のサラブレッドでした。
ところが種牡馬としては、それ以上に優秀で、初年度産駒から
クラシック馬マルセリーナ、3歳にして安田記念で古馬強豪を
なぎ倒したリアルインパクトなどをいきなりから輩出します。

仕上がり早く2歳時から走り、クラシックシーズンが近づくに
連れ成長を遂げる現代サラブレッドの理想を実現しています。
ここまで12年間のサイアー生活で2歳リーディングに11回輝き
世代が揃い始めた3年目から10年連続で種牡馬チャンピオンの
王座を誰にも譲り渡していません。
この資質は、「キングオブキングズ(王の中の王)」ガリレオと
おそらく双璧です。洋の東西で、競馬史的にも稀有な同時代の
両巨頭の出現は、もはや奇跡と言うしかないかもしれません。

私たち東サラは、サンデー亡き直後にクラブ創設準備に着手し
募集馬ラインナップに制限を受けない独立系の強みを生かして
優良馬への成長ポテンシャルを若駒だけを選び抜き買い付ける
仕組みを、日本津々浦々はもとよりアメリカはキーンランド、
ヨーロッパはタタソールズなど世界一級のセールを対象として
築き上げて来ました。世界の市場から集まった優良牝馬たちは
後にディープインパクトの花嫁としてコストパフォーマンスの
高い自家繁殖ディープ産駒のご提供に貢献してくれています。

そのポリシーは、今後も変わりません。
ディープ亡き混迷の時代に、かつてポストサンデーのヒロイン
G1馬レッドディザイアを送り出したように、ポストディープの
血を探り当てるのが今回セレクト参戦のメインテーマでした。
「鬼の眼」鬼塚義臣をはじめ東サラ・ハンター軍団の精鋭達は
2020年の大黒柱不在の「闇夜の航海」に、何を発見したのか?