「ロンジン・レーティング」の通称でホースマンに親しまれる
IFHA(国際競馬機構統括連盟)のWBRR(ワールド・ベスト・
レースホース・ランキング)がようやく発表されました。
例年ならビッグレースの節目毎に公表されるのですが、今年は
変則日程を反映して、今回が初めてのランキングとなります。
暫定王者の座に輝いたのは127ポンド評価のガイヤースでした。
2位は125ポンドで超長距離の絶対王者ストラディヴァリウス。
3位に牝馬限定とは言えヴィクトリアマイルを馬なりで圧勝した
日本調教馬アーモンドアイとオーストラリアの名スプリンター
ネイチャーストリップが124ポンドでランクインしました。

カテゴリー別に見ると、2000m級の中距離、2701m以上級の
超長距離、 1600m中心のマイル、1300m以下のスプリントと
各部門それぞれが上位にランクされて、2400m級の長距離分野
からは、ディープインパクト初の二冠馬となったコントレイル
ガリレオ産駒で牝馬二冠を制したラヴが最上位のランクですが
今回はノーランクでも女帝エネイブルを筆頭に強豪が山を成す
カテゴリーですから、今後の力関係はまだ混沌としています。

さて暫定王者ガイヤースですが、ドバイを目標に今シーズンを
スタートさせたのですが土壇場で開催中止となり、余力を残し
凱旋門賞が最終ゴールのヨーロッパラウンドへと臨みました。
コロネーションCをレコード勝ち、エクリプスSでエネイブルを
一蹴できたのは、変則日程で実力各馬が順調さを欠いた分だけ
無事の強みが、アドバンテージとして働いたとも考えれます。
しかし主戦ビュイック騎手が証言するようにガイヤース自身が
「目覚ましい進化を遂げている」のも確かなようです。

もともと馬ゴミを嫌う繊細な馬で、単騎逃げを武器とします。
ところがスタート下手で、出遅れをカバーするために最初から
エンジン全開でぶっ飛ばし強引にハナを奪ったり、距離ロスを
覚悟の上で馬群からポツンと離れた大外を迂回して逃げの形に
持ち込むなど、ビュイック騎手を散々手こずらせて来ました。
これで勝ってきたから、ポテンシャルの高さは怪物級!です。
父がゴドルフィンの至宝と仰がれるドバウィ、母ナイタイムは
その父ガリレオに初G1かつクラシック初勝利を贈っています。
ここまでにG1を181勝、クラシックは59勝と並ぶもののいない
名種牡馬にとっても、歴史の重い扉を開く価値ある1勝でした。

エクリプスSは先行有利のスピード馬場に恵まれたのも幸いし、
ガイヤースは気分良く走り、鞍上の指示にも従順で折り合い
2番手を追走するジャパンが来れば離し、離れれば引き付ける
絶妙のペースで、後方からジャパンを交わして末脚を伸ばした
エネイブルを2馬身余も突き放してゴールインしました。
エネイブルは6歳を迎えて、ズブさが出て来たのでしょうか?
デットーリ騎手が述懐するように「 2000mならガイヤース!
が2400mならエネイブルが強い!」ということなのでしょう。

この先、エネイブルのローテーションは、2400m級を選択して
キングジョージから秋にもう一走を挟んで。宿敵ガイヤースは
2000m級のインターナショナルSを叩き、今季をいち早く発進
させた疲労を慎重に測りながら、パリロンシャンの地に向かい
凱旋門賞を最終決戦として雌雄を決することになりそうです。