先週は英エプソムと仏シャンティイで、オークス&ダービーが
一挙に開催され、無観客ながら大いに盛り上がりました。
同じオークス&ダービーでも、イギリスは距離2400mで行われ
フランスは2100mと異なります。馬場もフランスは柔らかめで
例年微妙な差があるようです。相手関係の見極めもありますが
「どちらを使うか」の出走戦略、チームプレーなどをも含めた
「どう乗るか」の作戦はじめ複雑な駆け引きが潜んでいます。

仏オークスのディープインパクト忘れ形見ファンシーブルーは
前走の英1000ギニーで最後方に置かれ届かないような位置から
良い脚を長く使うステイヤーっぽいレースぶりで2着に追い込み
距離が延びるオークスなら、と先の楽しみを膨らませました。
名騎手として威光を残しながら、大柄ゆえに体重管理に苦しみ
弱冠21歳で今年、調教師に転身したドナカ・オブライエン師は
急遽鞍上を託した名手シャルル-ピエール・ブドー騎手と企んで
まさかの先行策に打って出ます。裏をかく奇襲が見事に的中し
ファンシーはバテない末脚を伸ばし、ゴール前で短アタマ出て
樫の女王に輝きます。ディープのヨーロッパクラシック制覇は
通算4勝目。もはや大舞台には欠かせない名血に君臨しました。
開業1年目のドナカ師は、騎手としてデビュー戦でファンシーに
初勝利を!調教師として、クラシックの大輪を咲かせました。

イギリスではガリレオの成長力が圧巻の大爆発を見せました。
ダービーを圧勝したサーペンタインは、前走でやっとメイドン
(未勝利)を脱出したばかりで、今回は連闘での挑戦でした。
連闘とは真逆ですが、デビュー勝ち後10カ月の休養明けだった
ラムタラが、2戦目でダービー馬を戴冠した快挙に匹敵します。
逃げたサーペンタイン以下、前へと行った馬の1-2-3で決着する
展開の利も大きかったのでしょうが、ここ一番で馬に芯が入る
ガリレオの血が創る急激な成長力は右に出る者がありません。

オークスを9馬身ちぎったラヴは2歳時にG1勝ちがありますが、
傑出した存在だったわけではなく、二冠を制圧した今現在とは
まるで別馬です。凱旋門賞オッズもブックメーカーによっては
エネイブルを越えて1番人気に大抜擢するところも現れました。
でもラヴの長所はエイダン・オブライエン師が指摘するように
仕上がり途上だったデビュー戦以外は良馬場6戦5勝と圧倒的!
乾いた馬場で瞬発力を発揮するタイプで、師の脳裏には馬場が
渋りがちな凱旋門賞と別の選択肢も準備されているようです。

ラヴには大きな野望があります。それは牝馬三冠の称号です。
日本では、桜花賞・オークス・秋華賞が対象とされていますが
向こうは1000ギニー・オークス・セントレジャーが牝馬三冠。
最終関門は牡馬混合レースで一段とハードルが高くなります。
ここまで200年を越す歴史で、達成したのは8頭だけ。牡馬の
2000ギニー・ダービー・セントレジャーの三冠達成は15頭も
いますから、難易度で言えば倍くらい厳しい関門になります。
高度なポテンシャルを秘め、かつレース毎に階段を昇るように
成長していくパワーが必要なのでしょう。最期の牝馬三冠馬は
1985年のオーソーシャープで、もう35年も前の話になります。
ガリレオの類まれな成長力を、ラヴが証明できるでしょうか?