5日間36レースのロイヤルアスコットが無事に閉幕しました。
コロナ禍に見舞われた今年は、恒例の女王の行幸も自粛されて
無観客競馬での開催でしたが、イギリスの夏を彩る三大風物詩
テニスのウィンブルドンやゴルフの全英オープンが中止された
ことを思えば開催されただけでも、とても幸せなことでした。
アスコット競馬場の関係者や全英のホースマンの歴史と伝統を
護り抜いた真摯な努力に対して敬意を表し、感謝を捧げます。
非常事態の中で変則スケジュールの開催でしたが、ここに向け
歴史と伝統を絶やさない重要な意思決定を貫き通した馬主さん
前哨戦も満足に使えない中で馬を仕上げた調教師やスタッフ、
レース毎に最高の技術と最良の戦略の粋を懲らす入魂の騎乗に
専心したジョッキー達、すべての人々が桧舞台の主役でした。
初日早々に大馬主ハムダン殿下の主戦ジム・クローリー騎手が
1日3勝の固め打ちで飛び出すと、最終日にはG1の2勝を含めて
ランフランコ・デットーリ騎手がこれも3勝の目を見張る活躍、
ロイヤルアスコットの真髄を知るベテランが活躍しています。
時節柄、国境を跨ぐ移動には2週間の隔離が課されるリスクを
回避してアイルランドのクラッシック開幕週を自重して、ここ
ロイヤルアスコット一本に備えたエイダン・オブライエン厩舎
ライアン・ムーア騎手も、初日のG1クイーンアンSを皮切りに
騎乗レースの多くで勝ち負けを演じ存在感を見せつけました。
本当に頼りになる凄腕です。彼らから今後も目が離せません。
そのオブライエン師も、4勝を上げてロイヤルアスコット通算は
74勝。サー・マイケル・スタウト師81勝、ヘンリー・セシル師
75勝に次ぐ歴代3位へ勝利数を伸ばしました。いずれ遠からず
ロイヤルアスコットのチャンピオントレーナーに君臨します。
宿命のライバル・ジョン・ゴスデン師も、開催6勝の荒稼ぎで
通算55勝まで積み上げ好敵手をジリジリと追い上げています。
嗚呼!素晴らしき哉、ロイヤルアスコット!
ここには世界の競馬のエッセンスがギュッと詰まっています。
来年は、ぜひ日の丸軍団の晴れ姿がそこにいて欲しいですね。