今年は弥生賞にディープインパクト記念の尊称が加わります。

ご存じのように弥生賞は、クラシックへの本流に位置付けられ

「王道」として、ホースマンに一目置かせる重要レースです。

ディープ自身、このレースで重賞を初制覇、三冠馬へと大きく

羽ばたいています。ここまで56回の歴史にミスターシービーと

シンボリルドルフの先輩三冠馬の名前があり、皐月賞馬が11頭

ダービー馬は実に15頭も輩出しています。

「王道」と呼ぶに、はばかるところのない堂々たる実績です。

キラ星のように輝く名馬一頭一頭にいろんな思いはありますが

ディープインパクト記念の諡(おくりな)に異存ありません。

 

海外では、名馬の遺した偉大な蹄跡に尊敬と愛惜の念を込めて

数々のレース名に採用されるのが普通です。オーストラリアの

歴史的名牝ウィンクスは、現役時代にウィンクスSが創設され

自らの馬名をその歴史に刻む馬までいます。

日本では戦後の復興期に競馬の社会的認知とイメージアップと

権威づけを図るために、国民的な信用があり影響力の強い大手

マスコミの協力を得て朝日、毎日、日経、NHKなどの冠番組が

普及した経緯があります。これはこれでその時代なりの意義が

あったのでしょうが、競馬それ自体が成熟度を深めるとともに

欧米風のレースネーミングも、悪くはないなと思えてきます。

 

JRAに現存する名馬顕彰レースは、開催時期順にシンザン記念

トキノミノル記念(共同通信杯)、セントライト記念、そして

ディープインパクト記念を加え4レースが施行されています。

ご記憶のようにセントライトは初代の、シンザンは2代三冠馬、

トキノミノルは10戦10勝でダービーを制覇した直後に不幸にも

夭逝してダービーを勝つためにだけ生まれて来た「幻の馬」と

ファンの涙を絞った「元祖・アイドルホース」でした。

 

過去には日本競馬のパイオニアであった青森・小岩井農場産で

引退後に内国産種牡馬の道を切り拓いた先駆者のクモハタ記念

同じく宮内省の下総御料牧場産で目黒競馬場で行われた最後の

ダービー馬となるカブトヤマ記念などが施行されていました。

これも歴史を識る上では、廃止されたのが残念な気がします。

 

今では遠い昔話になってしまいましたがセイユウ、シュンエイ

などのアラブの豪傑を記念したレースも盛んに行われました。

地方は大井ハイセイコー記念、笠松オグリキャップ記念などが

熱心なファンの支えで看板レースとして人気を呼んでいます。

日本の競馬も、ここまで大きく成長し豊かに成熟しましたから

企業名などに頼るのではなくホースマンやファンの思いや心に

寄り添うネーミングが増えても良い時期ではないでしょうか?