毎年2月になるとスイスでは、氷結したサンモリッツ湖の上に、
「ホワイトターフ」の愛称で人気の高いサンモリッツ競馬場が
幻想的な姿を浮かび上がらせます。創設110年以上の歴史を持つ
この冬の風物詩には世界中から競馬ファンや観光客が詰めかけ
毎年3万人以上の人々で賑わう人気スポットとして有名です。

走ることを宿命づけられたサラブレッドも氷の上ではさすがに
戸惑いそうですが、深さ数十㎝に達する圧縮雪のクッションが
コースに敷き詰められ、構造イメージは「白いダートコース」
そんな趣きです。これなら、雪の牧場を縦横に駆け回りながら
成長したサラブレッドなら不自由なく疾走できそうです。

メインイベントはスイスローカル格付けG2サンモリッツ大賞、
雪上2000mを馬場状態フリーズ(凍結!)2分9秒20で走破!
ダート2000mより少し遅めですが、なかなかのスピードです。
今年ホワイトターフ王者に君臨したのはウォーグレーヴという
イギリス調教馬でした。父ガリレオ、母の父オラトリオと一本
筋の通った血統馬で、2歳時にG1ナショナルS出走経験があり、
そのレースでは未完の大器と謳われたクオルトが完勝、翌年の
英ダービー馬に輝いたアンソニーヴァンダイクが続きました。
ウォーグレーヴはさすがに歯が立たず最下位に敗れていますが
トップクラスに属し、それなりのレベルに達した馬です。

氷上競馬といっても、ばんえい競馬のような特殊性に彩られて
いるわけではなく普段は平地競走に出走し、それなりの成績を
上げ選ばれたサラブレッドが、氷雪上におけるスピードを競う
普通のレースとして成立しています。
参加騎手の中には、フランスでリーディング上位を争っている
メンディバザルのような著名ジョッキーもいて、雪上レースが
ヨーロッパ地域で確かな市民権を得ていることが分かります。
海の向こうに広がる世界には、いろいろな競馬が、それぞれの
魅力を発信しています。貪欲に味わい尽くしたいものです。