ファンサービスに熱心な香港競馬では、遠征馬も分かりやすく
香港表記で紹介します。香港のお家芸であるスプリント連覇の
ロードカナロアは「龍王」の名で呼ばれました。日本競馬には
不案内な香港ファンにも、彼の強さが伝わる傑作ネーミング!
名馬ディープインパクトは「大震撼」と恐ろしげですが、娘の
ジェンティルドンナは「貴婦人」と涼やかな名で呼ばれます。
リスグラシューは、仏語で「優美な百合」の意味らしいですが
香港名は「雍容白荷」(ようようはくか)。ハスがゆったりと
落ち着いている様を現し彼女のレースぶりを象徴しています。
ユリがハスに代わっていますが、馬の本質を伝えるのが大事で
細かいことは気にしない、大陸らしい気風なのでしょうか。

有名なのはステイゴールドの「黄金旅程」。世界を飛び回った
彼の蹄跡を鮮やかにイメージさせます。ステイの一族は黄金を
冠とする馬名が多く、ゴールドシップはそのまま「黄金船」で
金細工職人が原義のオルフェーヴルは「黄金巨匠」と香港訳。
このあたりは血統的繋がりも意識しているのかもしれません。
ステイゴールド最初のG1馬で三冠オルフェーヴルの全兄であり
ステイゴールド系の開祖と言っても良いドリームジャーニーは
血統的な韻を踏めば「黄金旅人」「黄金紀行」といった辺り?
でもこの馬、どう考えても「夢紀行」の名が似合いそうです。

さてそのドリームジャーニー、競走馬としては父譲りの小柄な
馬体ながら天性のコーナーワークの達人で、有馬記念や朝日杯
フューチュリティSなどのG1をもぎ取った中山や小倉の小回り
コースを自分の庭にように伸び伸びと駆け巡りました。しかし
種牡馬としては受精率が低いこともあって、一息の実績です。
現2歳の17年生まれは、わずか7頭に種付けしたところで骨折の
悲運に見舞われリタイア、誕生したのはたった3頭のみでした。

しかし全馬が無事JRAに入厩し、今週のG1ホープフルSに登録の
あるヴェルトライゼンデは新馬、リステッドの萩Sを連勝して、
G3東スポ杯2歳Sで驚異のレコード馳けを演じたコントレイル、
大物と評判の高いワーケア、ホープフルとは同コース同距離の
OP芙蓉Sを楽勝したオーソリティなどクラシック候補馬の胸を
借ります。産駒達の「夢紀行」が綴られるのはこれからです。

先週土曜は、スワーヴドンが連続2着の後に勝ち上がりました。
3頭中2頭が出走して、勝ち上がり率100%は立派な数字です。
残る3頭目のキャンディダムは、牝馬特有の難しさもなどあり、
仕上げに苦労してますが、いずれ同期生の後を追うでしょう。
マイナー種牡馬のカテゴリーを抜け出せませんが、個性に富む
ジャーニーらしい「夢紀行」の行方が楽しみでなりません。