先週土曜、独ケルン競馬場2400mで行われたG1オイロパ賞を
イギリス遠征馬のドバウィ系アルカジーム産駒のアスペターが
快勝しました。ドバウィは、その父ドバイミレニアムがたった
1世代だけ残した遺児から、血統を繋ぐことに成功したほとんど
唯一の後継種牡馬です。
この奇跡の血を享けたアルカジームは、イギリスのロジャー・
チャールトン厩舎に入り、奥手ながら徐々に階段を上るように
5歳時に遂に本格化、G1戦線で破竹の3連勝と、一流馬の勲章を
土産に牧場に帰ります。しかし25頭に種付けを終えたところで
受精能力に難点を指摘され、現役復帰を選ぶことになります。

いったん種牡馬入りした馬が現役復帰した例は、クールモアの
ジョージワシントンが有名ですが、英2000ギニーを快勝した
傑出馬も復帰後は遂に勝利を掴めず、最後はBCクラシックに
遠征して故障に見舞われ、不帰の旅路となってしまいました。
一度引退した馬が能力回復するのは至難の業なのでしょうか?

ところがアルカジームは、その常識を鮮やかに打ち破ります。
チャールトン厩舎に戻った彼はリステッドレースでスタートし
秋の大一番G1英チャンピオンSでは、フランケル全弟の人気者
ノーブルミッションとアスコットの長くタフな直線を目一杯に
叩き合う全英を感動の嵐に巻き込むドラマを演じてくれます。
そして年明けタタソールズゴールドCでは強豪ポストポンドを
競り落として遂にG1のゴールを先頭で駆け抜けて見せました。
不可能を可能にするような快挙は、奇跡の血に伝わる不思議な
力と、厩舎と牧場のチームワークが生んだ賜物だと思います。

アスペターは、前出の25頭から生まれた数少ない初年度産駒の
1頭で、父と同じロジャー・チャールトン師の薫陶を受けます。
残念ながらセン馬で後継種牡馬の道は閉ざされいますが、去勢
手術を経てヒト皮剥けたのか?成績が安定してきたのも事実で
この厩舎、牧場、馬主さんの決断は正解だったのでしょうね。
セン馬ゆえに凱旋門賞挑戦の選択肢は、既に失われていますが
奇跡の血を受けて奇跡的に出現したG1馬の活躍が楽しみです。