昨日お話した雄叫びを上げる百獣の王=ロアリングライオンの
父キトゥンズジョイがリーディングサイアーの首位に躍り出て
馬産大国アメリカの種牡馬王の行方が風雲急を告げています。
北米リーディングサイアーの特徴は、自国で行われるレースに
限らず、北米産馬全体の世界各地での獲得賞金がカウントされ
ランキングが決められます。世界の著名ホースマンが集結する
キーンランドのセプテンバーセールや名血の保存と継承を図る
ブリーダーズCシリーズに至るまで様々なアイデアを駆使して
世界一の規模と質を誇る馬産大国のお国柄を反映しています。

今年の北米リーディングサイアー戦線は1着賞金700万ドルの
ペガサスワールドCで有終の美を飾ったガンランナーを擁する
キャンディライドが年初から首位の座を守り続けて来ましたが
無敗の三冠馬ジャスティファイを輩出したスキャットダディと
ヨーロッパで良績の目立つキトゥンズジョイが追いかける形で
終盤を迎えました。ところがここへ来てロアリングライオンが
愛チャンピオンSを制圧して、カナダでウッドバインマイルを
オスカーパフォーマンスが勝ちキトゥンズジョイが先週までに
獲得賞金を1449万ドル余と積み上げキャンディライドを逆転!
遂に首位に躍り出ました。2歳戦大得意のスキャットダディは
G1モイグレアスタッドSをスキッタースキャッターが勝つなど
3位で追いかける展開になっています。後半戦に入るこれからは
各地で高額賞金レースが目白押しで、思わぬ伏兵の台頭がない
とは言えませんが3強の争いで決着しそうな雲行きのようです。

キトゥンズジョイは、オーナーブリーダーのラムゼー夫妻らに
所有され、13年シーズンには北米リーディングサイアーに輝き
種付け料も10万ドルにまで達した一流種牡馬です。血統的には
今や種付け料25万ドルと人気高騰のメダグリアドーロと並んで
サドラーズウェルズ系エルプラードの血を伝え北米においては
ミスプロ系やA.P.インディ系など主流血脈に何でも付け放題の
アウトブリード血統として重宝されています。しかし活躍馬は
ラムゼー夫妻の所有馬に集中し、半ばプライベート種牡馬的な
趣きがあったのも事実です。ところが今年から所有権の一部が
大手スタッドのヒルンデールファームに譲渡されたこともあり
配合相手の多様化を意図して種付け料も6万ドルと思い切った
ディスカウントを試み再出発を図った矢先のブレークでした。

輸入馬からはエプソムCのダッシングブレイズ、京王杯2歳Sの
ジャンダルムが重賞を勝っています。繁殖牝馬への需要も高く
G1を5勝している名牝ステファニーズキトゥンは280万ドルで
ノーザンファームに買われ、既にディープインパクトの牝馬を
生んで順調なら来年、藤沢和雄厩舎からデビューの予定です。
まだ輸入産駒は多くないのですが、ジャンダルムのように母が
遥々と海を渡って種付けした仔もいます。母ビリーヴはご存じ
サンデーサイレンスの快速馬で、この日本を代表する系統との
相性も良さそうです。サンデーとキトゥンズジョイはそれぞれ
ヘイローとロベルトを通じてロイヤルチャージャー系へと遡る
血脈の影響が色濃い相似性があり、時に爆発的な瞬発力を生む
親和性を高めているのかもしれません。ジャンダルムをしのぐ
日米合作による超大物の出現に期待して良いかもしれません。